《いのちを守るSTAY HOME週間〜STAY HOME、SAVE LIVES〜 実施期間4月25日(土)〜5月6日(水)》
「百合子のライブツアー」……じゃなかった。「命を守る STAY HOME週間」もいよいよ“後半戦”に突入した。だが、一部では約2週間にわたる「自宅待機指令」に我慢ならなかったのか、危険すぎるツアーを敢行する輩が現れたという。
「ここにきて、ひそかなブームとなっているのが廃墟探索です。全国的な新型コロナ感染拡大を防ぐためには人の移動を食い止めるのが先決なので、各地の旅館やホテルは次々と臨時休業を発表しました。これを受けて、とっくの昔に廃業となったホテルや病院などの廃墟を探索しようという動きが広まっているそうです。今やユーチューブには廃墟を探索する動画があふれ、近年は日本一有名な廃墟『軍艦島』へのツアーが注目を集めるなど、廃墟がすっかりポピュラーなジャンルになったことも影響しているのではないでしょうか」(旅行雑誌編集者)
たしかに、廃旅館・廃ホテルならばもともと営業していないのだから、予約する必要もないし……。と安易な考えに走るのも、理解できなくもない。だが、探索歴20年というベテランの廃墟マニアはこう言って、今回の“闇ブーム”に警告を発するのだった。
「『軍艦島ツアー』のように自治体や施設所有者の許諾を得たもの以外は、非合法な行為であるとの認識を持ったほうがいいでしょう。実際、警備会社の人感センサーに感知され、結果的に警察のご厄介になった人は数知れず。また、木造の廃旅館などでは床が朽ち果てているケースが多く、転落事故で大怪我を負ったケースもあります。こういう場合、同行者がいれば救急車の手配など、ある程度は面倒を見てくれるかもしれませんが、単独となると命を危険にさらすことにもつながりかねません。非合法かつデンジャラスな遊びであることを知っておくべきです」
たしかに、廃墟で「前科」がついてはシャレにならない。その道のベテランが、「ダメ。絶対」と念押しするのも頷ける。
「かくいう私も建物所有者の了解を取って、ある大型レジャー施設の廃墟を探索したことがありますが、そこに併設されたパチンコホールの跡地でとんでもない経験をしました。写真を撮影していたら、いきなり『お前誰じゃ』と後ろから声をかけられたんです。振り返るとコワモテの男が3、4人がいて、心臓が止まるかと思いましたよ。どうやら彼らは銅線ドロボウで、パチンコ台の中から銅線を引っこ抜いて、ズタ袋に詰めていた様子。当時は銅が高値で売れたんですね。実は向こうもかなり警戒していて、自分が警察関係の人間でないことを知ると、『ビビらせんなよ』と(笑)。その時に実感しましたよ。幽霊よりも現実の人間のほうがよほど怖いってことをね」(前出・廃墟マニア)
こう語る廃墟探索のベテランは、かつて北海道にある廃ホテルのリサーチ中に、生きているヒグマに遭遇したこともあるという。絶対にマネしないよう、「STAY HOME」に努めてほしい。
(石川ともこ)