いったいこれからの日本経済はどうなってしまうのか。
経済評論家の佐藤治彦氏は、コロナ禍の恐ろしさは「3つの波になって襲ってくる」と力説する。
「現状は、すでにコロナにより実体経済が不況状態に及んでいる。例えば、銀座のクラブが店を閉じれば、ホステスさんが減ります。さらに、ホステスさんは、毎日のように美容院に通っていますから美容院に常連客が来なくなり、一気に立ち行かなくなる。また、ホテルが閉鎖すれば、食材を入れている八百屋さん、魚屋さん、お客を運ぶタクシー運転手と、どんどん連鎖して不況が広まっていくことになります」
この実体経済を直撃する不況で脆弱となった日本経済に、第2波が急襲するという。
「次にやってくるのは金融不安です。リーマン・ショック後もそうでしたが、金融機関からのつなぎ融資がコゲつくと、実体経済の不況から金融不安へと飛び火します。今度は食料品や衣料品だけでなく車、住宅、株式投資など全ての経済が回らなくなってしまう。もはや、株で儲けた人が六本木のクラブで豪遊したり、高級外車を買うこともできなくなってしまうのです」
さらに佐藤氏は、自粛期間が長引けば長引くほどそのリスクは高まっていくと説明する。
「コロナ不況に加えて金融不安が重なると、実体経済がさらに悪化してしまう。これが第3波となり、もはや87年のブラックマンデーとは比べ物にならない過去50年で最悪の経済状態に陥るのは間違いありません」
つまりこの3波を浴びれば、文字どおり町なかには、住宅ローン返済もできずに家を失った人や、ネットカフェでも生活できない「ゾンビ失業者」が大量に徘徊することになりかねないのだ。社会部記者が補足する。
「外出自粛により被害が大きく出ているのが、観光業や飲食業です。新規採用者は内定取り消し、従業員は労働時間が大幅に削られ、残業代がつかないばかりか、解雇されるケースも続出している。まともに打撃を食らったのが、非正規労働者です。業績不振のため3月末でパートを雇い止めになったケースが多数発生している。この中にはインターネットカフェで暮らす4000人のネット難民も含まれます」
このネットカフェ難民が就労難民になるだけでコトは収まらないのだ。
「アメリカではこの1週間だけで660万件の失業保険の申請が行われている。リーマン・ショック後でさえ最大60万件程度だったのに現在のアメリカの失業率は4.4%ですが、さらに10%、最悪20%近くまで悪化する可能性があるのです。もちろん日本も対岸の火事では済まない。失業率10%近くまで行く可能性が高い」(前出・佐藤氏)
現在の日本の失業率は2.4%で164万人ほど。それが10%に跳ね上がれば失業者は600万人超と大量増殖。おびただしい数のゾンビ失業者が町なかにあふれる事態はすぐそこまできているのかもしれない。