記録的な不漁が続き、絶滅危惧種にも指定されているニホンウナギ。しかし水産庁によれば、昨年11月から今年1月まで(漁期前半)のニホンウナギの稚魚であるシラスウナギの国内採捕量が8.9トンと、前年同期の0.1トンから約90倍となっていることが明らかとなり、驚きの声が上がっている。
「ウナギの養殖で知られる浜名湖のある静岡県でもシラスウナギは豊漁で、漁師から稚魚を仕入れて育てる養殖業者の池がいっぱいになり、休漁期間が設けられたほどです。静岡では水揚げ量が増えたことで休漁となるのは初めてのことだといいます。なお、ウナギの生態については不明な点が多く、シラスウナギが急増した理由も分かっていません」(漁業関係者)
これにネット上では、《このところウナギを食べる機会が激減していたが、また食べられるようになるかも》《ここ数年は土用の丑の日にナマズやシャケの蒲焼きなんかが出回ってたけど、今年は本物が少しは安く買えるかな》《でも、今年がたまたま豊漁だからって乱獲したら、また来年からは不漁になるのでは?》など、不安混じりの期待の声が上がっている。
「国内採捕量が前年同期比で90倍と聞くと、とんでもなく増えている印象を受けますが、昨年があまりにもひどかっただけで、もし漁期後半が同じくらいの採捕量だっとしても17年の15.5トンと同程度。3年前の水準に戻っただけとも言え、まだまだ低水準にあることには変わりありません。秋田のハタハタは漁獲量が激減し、92〜94年を禁漁期間としたことで資源回復に成功したという例もありますから、シラスウナギが豊漁だからといって油断せず、継続的に資源回復への努力をする必要がありますね」(水産関係者)
一時的な急増で終わらないことを願うばかりだ。
(小林洋三)