早い人なら40代から、70代のなんと85%が患うという眼病が「白内障」。目のレンズである水晶体が白く濁ることで視界が全体的にかすむ、加齢とともに誰にでも起こる症状だ。
紫外線の多い地域の人や農家、釣りやゴルフ好きなど、長時間屋外にいる人がなりやすい。初期症状としては、目がかすんだり、明るいところでものが見えにくくなるのだが‥‥。
「白と黄色、黒と青といった色の見分けもつきにくくなるので、ガスコンロの青い火が見えず、袖口を燃やしてしまう人などもいます。また視力低下により、認知症の発症につながるリスクもあります」(平松医師)
その症状がさらに重くなると「緑内障」の原因になることも。緑内障は眼圧が高くなることで視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気だ。光るものを見ると、周りに虹のようなものが見える症状(虹視症)もあるという。
現在、日本での失明率1位というこの病気の怖いところは、痛みや目の充血といった症状がまったく表れないままに進行することだ。唯一の自覚症状は、
⑥視野が欠ける
というものだが、
「片目ずつ症状が進行するうえに、欠けた部分を別の目と脳が補ってしまうので、かなりの段階にならないとその状況に気づかないことが多い。中には、病院に来た段階で片目が失明していたという方もいます。40代を過ぎたら、定期的な眼底検査をお勧めします」(平松医師)
つまり⑥の症状を意識した時はすでに重症。糖尿病の合併症として引き起こされることも多く、無呼吸症候群の症状がある人もなりやすいので要注意。
⑦目の前に黒い点が飛んでいるように見える
⑧ものがゆがんで見える
にチェックが入れば、視野の中で虫や線、点のようなものが見える「飛蚊症」の疑いがある。これもまた加齢により起こり、水晶体の後ろにある硝子体の濁りや、出血などから起きた目の中の汚れが網膜に映る症状がごく一般的なもの。この場合なら治療の必要もないのだが‥‥。
「虫の数が急に増える、視野の欠けが大きくなる、視界にカーテンがかかっているように見えた場合は網膜裂孔・網膜剥離が原因の場合もあります」(平松医師)
「網膜剥離」は眼球の内側の網膜が剥がれて視力が低下する症状で、やはり加齢によって起こり、痛みはないが、放っておくと失明の危険を伴う。
あまりなじみがない病名かもしれないが、50代の80人に1人が発症しているのが「加齢黄班変性」。網膜の中心にある「黄斑」という直径1.5ミリ程度の部分に障害が出て、視界のゆがみがあったり、視界の中心が暗く見えるようになるが、
「欧米では1位、日本では4位の失明率となる、目の生活習慣病とも言えるものです。男性に多く、喫煙や欧米型の脂質が多い食事、ブルーライトを含む強い光の影響でなりやすいです。症状の進行は個人差がありますが、難病の一種で、悪化を食い止めるのが主な治療となります」(平松医師)
加齢黄斑変性かどうかを自己チェックするには「アムスラーチャート」と呼ばれる格子状の表(詳細はWEBで検索)を用いて確認する方法がある。
表を目から30センチ離して、老眼鏡やコンタクトレンズをした状態で左右それぞれ、必ず「片目」で中央の黒い点を見つめよう。方眼内にゆがみや不鮮明なところ、黒く見える部分があれば、病院で相談したほうがいいだろう。
■目の健康 チェックリスト
(1)目が疲れやすい
(2)目に痛みを感じる
(3)ものの見え方がおかしい
(4)目がかすむ
(5)外に出るとまぶしいと感じる
(6)視野が欠ける
(7)目の前に黒い点が飛んでいるように見える
(8)ものがゆがんで見える