健康宅配チェックシート〈白内障〉(1)生きていれば誰もが100%発症する!

 少しずつ日が短くなる晩夏の候。夕暮れ時に何となくモノが見えづらいと感じたことはないだろうか? もしも心当たりがあれば、長寿社会に誰もが直面する”国民病”の疑いアリ!今すぐ眼科にかかるべきかもしれない。

 目の中でカメラのレンズのようにピント調節の役割を担うのが「水晶体」なる透明な組織だ。しかしながら年齢を重ねて白く濁ってしまうと、外部の光を屈折させて網膜に映す機能が衰えてしまう。その症状を「白内障」と呼ぶ。宮城県仙台市にある「ASUCAアイクリニック仙台マークワン」の野口三太朗医師が解説する。

「先進国での原因は主に加齢によるもの。眼内に老廃物が蓄積されたり、水晶体内部が酸化あるいは糖化することで組織を構成するタンパク質が変質したりして、濁りが生じたり、水晶体内部が酸化あるいは糖化することで組織を構成するタンパク質が変質したりして、濁りが生じるようになります。診察に来られる患者さんで統計を出してみると、75歳が中央値でした。症状に気づくか気づかないかの個人差こそあれど、生きていれば誰もが100%発症してしまう目の病気です」

 真っ先に現れるのは近視や遠視の症状の悪化だという。

「眼球内の光の屈折が変わってしまうので、これまで見えていた距離なのに見えづらくなります。眼鏡やコンタクトレンズの度数が合わなくなることで、相談に来られる人も珍しくありません。ちなみに近視は目の〝万病の元〟で、白内障はもとより緑内障や網膜剝離にも何倍もかかりやすい。遺伝的な要因も大きいですが、太陽光を浴びていない人が近視になりやすいという研究結果もあります」

 太陽光に含まれている「バイオレットライト」が近視の予防に一役買っている。どうやら窓ガラスを1枚挟むだけで遮断されてしまうようで、

「生活サイクルの中で太陽光を浴びない人は要注意。夜の仕事や日中に室内に籠もりっぱなしのデスクワーカーは、意識的に明るい時間帯に外出した方がいいでしょう」

 夜間に片目で見ても街灯や月がダブッて見えてしまうのもサインの1つ。

「『複視』という初期症状です。水晶体内部に白く濁った部分とそうでない部分があることで起きてしまいます。ただし、この段階では自覚症状のない人がほとんど。その症状は劇的ではなく、徐々に進行していくものですからね」

 時には床に水たまりができたような錯覚も見られるという。

「目の中で光が乱反射を起こしてしまう。車のフロントガラスが曇ってしまったような視界になって見えづらくなる状態です。太陽を背にして歩いてくる人の顔も判別できなくなります」

 次第に日常生活に支障をきたしていくのである。

【白内障チェックシート⑮】

セルフチェックで4点以上は近くの医療機関へGO!

①年齢が50歳以上 1点
②遺伝的に近視の家系だ 1点
③目がかすんで疲れやすい 1点
④アトピーがある 1点
⑤目をぶつけたことがある 1点
⑥夜の街灯や月がダブって見える 2点
⑦階段や段差を踏み外すことが増えた(壁によくぶつかる)2点
⑧天気がいい日の外出はまぶしくて鬱陶しい 2点
⑨近視あるいは遠視が悪化したような気がする 3点
⑩床に水たまりがあるような錯覚を覚える(視界に霧がかっている)3点
⑪対向車のヘッドライトがまぶしい 3点
⑫年齢が75歳以上(該当する場合は①を除く)3点
⑬眼球の黒目が白あるいはグレーに濁って見える 4点
⑭ガスコンロの青色を認識できない(白色が認識できない)4点
⑮他人が見えているものが見えない 4点

(つづく)

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