東てる美を襲った投資トラブル(2)投資被害者の“名簿”を利用か?

 社会部キャップが説明する。

「四季彩ファームは豪華なパンフレットをこしらえ、東京のほか全国に十数カ所の営業所があることをうたい、『イチゴ農園に投資しませんか』と訪問販売を行っていた。しかし、実際には和牛やエビの養殖などによく見られる、実態がない『現物まがい商法』の一種だった」

 高級イチゴの甘いワナは、被害者たちを大いに魅了したことだろう。

 南堀江弁護士事務所代表・山内憲之氏が被害の実態を説明する。

「被害者たちは、軽井沢で栽培している果物の農地の区画を買い取り、その土地を農家に貸し出すことで安定的にレンタル料金が入ってくると説明を受けていた。しかも、月々の配当のほか、3年後には投資した元金がそのまま返還されるという話を信じ込んでしまった」

 うまい話には裏があるのが定石だが、中には実際にサンプルのイチゴが送られてきて信じてしまった被害者もいた。

「2年前に取り扱った大阪で1人暮らしの70代女性のケースでは、まず100万円投資したところ、翌月6000円ほどの配当が振り込まれました。さらに200万円を増資すると、その翌月には2万円弱の配当があった。振り込みは数カ月続きましたが、この女性の親戚が怪しい契約に気づき、契約を解除しました」

 女性は計16万円の配当と60万円弱の解約金を取り戻したが、投資額の300万円にはほど遠い。そのため、残りの元金分の損害賠償を求めて訴訟を起こしたという。

「裁判で四季彩ファーム側は、あたかも大丸など有名デパートで『軽井沢貴婦人』を販売していたとする写真を提示するだけで、実際にデパートに納品したことを証明する書類などは提出されませんでした。その後、先方から和解が提案され、240万円を求めた被害者は150万円で和解している。被害者の多くは年金生活者。過去に何かの投資をされた人もおり、そんな投資者名簿などをもとに訪問販売を受けた可能性もあります」(山内弁護士)

 それにしても、出資するだけで毎月の配当、加えて3年後には元金もまるまる返還されるという、ウソのようなオイシイ話に多くの人が飛びついたのはなぜか。同社の背景を知る、アウトロー関係者のX氏が内実を耳打ちする。

「最初の数回は配当が支払われるから安心するんだよ。冷静に考えれば、そんなに儲かるビジネスなら銀行から融資を受けて事業拡大すればいいだけのことだが、この手のマユツバ話を真に受けてしまう被害者は過去にも投資で痛い目にあってるのが多いんだ。だから『おたく、小豆相場で○万損したでしょ。今度のこれは確実』なんて誘導されると溺れる者はワラをもで、まんまと話に乗っかっちまう。投資被害者は名簿になってるから、同じ人に話を持ちかければいい。今回の会社には、都内で小豆相場の投資詐欺でボロ儲けしたグループのメンバーが入り込んでいたってよ」

 組織の役割はきっちりしていて、投資を持ちかける営業マンばかりか、怪しまれた時にクレーム処理の電話対応をして懐柔するプロフェッショナルまでいたという。

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