「代打、代走でもイケる!」“補殺日本一”梅野に挑むトラの伏兵捕手

 阪神一軍キャンプに“思わぬ伏兵”だ。トラの選手会長、補殺の日本記録保持者でもある梅野隆太郎を脅かすキャッチャーが現れたのだ。
 
「レギュラー争いの最大の激戦区はショートです。矢野燿大監督は木浪聖也を何とかしたいと思っているようですが、北條史也がいて、新外国人選手のジェリー・サンズも『ショートができる』と言い出しました。木浪と近本光司が昨季以上に活躍し、大山悠輔が安定したバッティングを見せてくれたら、優勝圏内なんですが」(在阪記者)

 今季のキーマンとして名前の出た木浪、近本、大山は奇しくも、同じ1994年生まれ。その「94年組」に“伏兵捕手”が割って入ってきたのだ。昨年7月に支配下登録を勝ち取った片山雄哉である。

「18年ドラフト会議で育成1位の指名を受け、入団1年目の途中で支配下を勝ち取りました。ウエスタンリーグでは4番も務めたことがあります。とにかく打球が速い」(他球団スタッフ)

 右投左打。対戦チームも一目を置いていた打球の速さは、全体練習後、「1日1000スイング」と自らに課したノルマによって培われた。正捕手・梅野にはバッティングで勝負を挑むわけだが、肩も強い。しかも「キャッチャーで俊足」という珍しいタイプで、50m走は6.1秒と伝えられている。「他ポジションにコンバートして…」というプランもあったそうだが、捕手・片山にひときわ期待を寄せているのが、藤井彰人バッテリーコーチだった。

「藤井コーチはコーチ業の研修で、16年、阪神から独立リーグ・福井に派遣されています。そこで片山と出逢ったんです。『オレの引き出しの全てを教えてやる』と、ホレ込んだ逸材です」(球界関係者)

 藤井コーチが入れ込んだ理由は、やはり、1日1000スイングのひたむきさだった。チームの主力組がキャンプ地・沖縄県宜野座入りした1月31日も、さっそくバットを振り込んでいた。

 高校時代は甲子園の出場経験ナシ、短大から独立リーグ入り。特技も「茶道」という変わり種が頭角を現せば、他の94年組だけではなく、チームの士気も高まってくるはずだ。
 
「左の代打、代走でも使えるかもしれません」(前出・在阪記者)

 背番号95、片山雄哉の名前は覚えておいたほうが良さそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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