「麒麟がくる」で注目! 明智光秀7つの誤解(1)唯一の肖像画にも根拠はなし

 年末の沢尻エリカが引き起こした事件を乗り越えてついに始まるNHK大河ドラマの新作は、「本能寺の変」で有名な明智光秀にスポットを当てた異色作。あらためて注目される謎多き戦国武将の知られざる青年期から遺された資料、意外な素顔まで、歴史の常識を覆す光秀の「真実」に迫る!

 19日よりスタートするNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。放送開始を待ち焦がれるドラマウオッチャーが、その魅力を解説する。

「織田信長の側近でありながら、天下統一目前で本能寺の変を敢行。歴史上では裏切り者の烙印を押された格好の、悪人サイドの視点から描かれる歴史物は非常にマレです。主人公の明智光秀を演じる長谷川博己がどのような光秀像を演じるのか。時代を動かすほどの謀反に及んだ真相、歴史的資料が残されていないため謎の多い前半生がどのように描かれるのか、期待値の非常に高い作品です」

 物語の最初の舞台は美濃国(現・岐阜県)。最初の主君として本木雅弘演じる美濃の大名・斎藤道三に仕えるシーンが、前半生のハイライトになる予定だ。

 しかし、このストーリーに待ったをかける人物がいる。明智家の末裔であり、「明智継承会」代表理事を務める明智憲三郎氏は、

【1】斎藤道三は明智光秀の真の主君ではない

 と強く反論する。

「史実とは大きくかけ離れた設定で、むしろ、敵対する相手になります。明智家は美濃を治めていた室町幕府の守護職である土岐氏に仕えていました。その守護職を横取りしたのが斎藤道三です。光秀も土岐氏の重臣として道三と戦を繰り返してきましたが、武運むなしく下克上の波に飲まれてしまいます」

 美濃を平定後、道三は隠居の道を選んだため家督を息子・義龍に引き継いだ。だが本心では、側室から生まれた義龍に家督を継がせることに乗り気ではなかったようだ。隠居後も影響力を持つ道三は、通説では溺愛する正妻の子・孫四郎と喜平次に再び家督を引き継がせるため義龍降ろしを画策する。そこで勃発するのが「長良川の戦い」である。

 ちなみに通説では、ここで光秀は道三側に付くことになるのだが‥‥。

「主君を毒殺するなどして成り上がった道三に加勢する者はほとんどいませんでした。反対に長良川の戦いは、土岐氏の残党にとって絶好の敵討ちのチャンス。資料として残っている義龍の軍勢リストには、光秀も名を連ねています」(明智氏)

 さっそく通説をひっくり返す形となったわけだが、さらに明智氏は有名な肖像画にも異を唱えた。

【2】本徳寺所蔵の「明智光秀像」は本人ではない

「現在のところ唯一の肖像画と言われているものですが、実はそこに書かれている『輝雲道琇禅定門肖像賛』に『光』『秀』の文字が入っているだけという、歴史的エビデンスには乏しい代物。所蔵している本徳寺が『光秀の肖像画』だと主張しているだけなのです」(明智氏)

 言われて見ると、どこか戦国武将らしからぬ、か細い印象も。

「光秀も戦乱の時代を生きた武将の一人。本当は武骨でたくましい姿だったに違いありません。そのイメージに合致するのは、ズバリ渡辺謙さんです」(明智氏)

 長谷川のイメージは、やや期待外れということか。

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