1月2日から東京のデパート各社は初売りをスタートさせたが、「渋谷109」では開店前の行列が昨年の約2000人から半分となる約1000人にまで減り、例年の賑わいは見られず寂しいスタートとなった。
「『109』の初売りといえば、福袋を買った女性たちがエントランス付近に集まり物々交換する姿が恒例となっていましたが、今年はその物々交換する客のためのスペースも設置されず、福袋の賑わいからはほど遠い状態だったのが印象的でした」(ファッションジャーナリスト)
物々交換をする人が減った理由には、フリマアプリ「メルカリ」と「109」が共同で行ったリセールプロジェクトの影響がある。「109」では、1月2〜5日のあいだ2階フロアに「メルカリ POP UP」をオープン。購入した商品の撮影や梱包ができるブースを設け、さらには先着で梱包資材が入った「売れる福袋」を配布した。そのため、昨年まで物々交換していた女性たちが一斉にメルカリでの転売に乗り換えたとみられている。
「フリマアプリの登場により、福袋の存在意義は薄れつつあります。中身に何が入っているか分からない福袋に1万円以上払うよりも、フリマアプリで格安の新古品を購入する方が、目的のものを安く手に入れることができますからね。そもそも『109』の福袋はネット通販でも購入することが可能なので、来年以降は福袋を求めて初売りに並ぶ人の姿はさらに減り、転売ヤーばかりになる可能性もあります」(ブティック店員)
いずれ福袋自体が消える日が来るのかもしれない。
(小林洋三)