何が入っているかわからないハンバーガーが発売される。まるでフェイクニュースのような話なのだが、実はこれ本当の話だ。「バーガーキング」は10月23日から11月5日までの14日間限定で“謎のハンバーガー”を販売する。名付けて「ザ・フェイク・バーガー」。
「運営会社のビーケージャパンホールディングスによれば、一度食べるとクセになる美味しさだとか。バーガーキングでは今年2月にも『中身が謎』というキャッチコピーで『プレミアムフライデーワッパー』を期間限定で販売しましたが、その正体は普通のワッパーの箱の裏にワッパーの無料券がついたものでした」(外食ライター)
前回の商品画像では見た目は普通のハンバーガーで、ある程度どんなものか予想はできたが、今回の商品画像(写真)はモザイクがかかっているので本当にどんなものかわからないという念の入れようだ。しかも数量限定で、数がなくなり次第終了というから、謎だけでなくプレミア感もあってやはり興味がそそられる。かなり話題を呼びそうだ。
隠されていると中を見たくなるのが人間の性。そんな人間の射幸心を煽るような似た発想で思い出されるのが、2016年に登場した「文庫X」だ。
《申し訳ありません。僕はこの本を、どう勧めたらいいのか分かりませんでした》
という書き出しから始まる書店員の手書きのメッセージを印刷したカバーが本の表紙を覆い、ビニール袋に包まれているので立ち読みも許されないという梱包で売られた文庫本の中身が謎のまま。2016年に岩手県盛岡市のイチ店員のアイデアを活かしてこんな売り方をしたところ、発売から3カ月で3500冊も売れたという。
ネタばらしをすればその中身は、清水潔の推理小説「殺人犯はそこにいる」だったのだが、このアイデアが人々の興味を誘って全国にまで広まった。後に類似の売り方が続出して今でも時折、本屋で目にするが、こういう売り方を俗に「闇鍋商法」と呼ぶ。
「過去にCDやお菓子で同じようなセールスの試みがありました。例えば08年には森永製菓から『ひみつのハイチュウ』というハイチュウの袋詰めが売られたことがあります。一番良く知られているのがビックリマンチョコでしょう。どんなシールが入っているか、購入して開けてみなければわからないドキドキ感も手伝って一大ブームとなりました。さらに福袋なども購買心理は同じです」(経済誌ライター)
フェイクが流行る不確実な時代だけに、今後こういう商品が増えるかもしれない。
(猫間滋)
写真提供:バーガーキング(R)公式