新年の幕開けを告げる一大イベントといえば「箱根駅伝」をおいて他にない。21本のたすきが初春の箱根路を駆け抜ける令和初の第96回大会は、昨年に続いて大激戦が予想されている。テレビには映らない選手・チームの周辺情報から、ひそかに進行する手に汗握る駆け引きの裏側に迫る!
毎年、スポーツの枠を超えて人々を熱狂させている東京箱根間往復大学駅伝競走、通称「箱根駅伝」。令和初のレースとなる今回の王者争いも、激戦必至の様相を帯びている。
三大駅伝の緒戦となる10月の出雲駅伝は、3度目の出場の國學院大が最終5区で平成の常勝軍団・駒澤大を逆転。11月の全日本大学駅伝は、東海大が16年ぶり2度目の優勝を飾ることとなったが、首位が5度も入れ代わる中での勝利だった。それを踏まえてか、青学大・原晋監督も、
「往路は混戦でしょうね。國學院さんも初優勝を狙います。法政も強い。東洋、東海、駒澤、青山、5から6チームが箱根の往路優勝を賭けて激戦を繰り広げるのではないでしょうか。苦しむ中でチャンスをうかがうことになりそうです」
と予想。スポーツ紙デスクが話す。
「策士の原監督のコメントはそのまま受け取れないことが多いが、これは本音でしょう(笑)。往路の戦いが明暗を分けることになるのは間違いありません」
東洋大の元監督・佐藤尚氏が往路の見どころを解説する。
「やはり、山登りの5区ですね。例年になくハイレベルで楽しみです。前大会、区間賞だった國學院・浦野雄平(4年)、24秒差で区間2位の東海・西田壮志(3年)がいて、法政には前大会こそ3位だったものの、その前年には区間新記録を樹立した青木涼真(4年)が今回も健在。安定感なら一番でしょう。駒澤にしても前回5位の伊東颯汰(3年)がいて、今井正人(順天堂大)、柏原竜二(東洋大)、神野大地(青学大)に続く、『第4代山の神』の襲名を狙うスペシャリストが名を連ねています」
強豪校の中では青学大だけが不安視されている。2年連続で5区を任せられた竹石尚人(4年)が16人のメンバーからこぼれてしまったからだ。が、スポーツライターによれば、
「心配ないでしょう。実際に選手層は分厚く、1万メートル上位10人の平均タイムはトップです。竹石の代わりは4年の吉田祐也が有力。18年に3大駅伝初出場の全日本5区で区間賞だった実力者で、今季も好調です」
吉田(祐)の姿は、1年の時から箱根で目撃されており、
「特殊な区間だけに、各校は山登り(5区)と下り(6区)のスペシャリストを育成している。年に数回、事故に気をつけながら少人数で実走し、適性などを見分けています」(スポーツライター)
そしてもう1人、意外な名前が5区を沸かせるかもしれない。
「日本大のC・ドゥング(1年)です。マラソン王国・ケニアの出身で、留学生として高校時代を過ごして実業団へ。家族に仕送りしていた苦労人で、母国でのアパート経営が軌道に乗って、日大に入学した異色の経歴の持ち主です。関東インカレ2019のハーフマラソンで優勝しているだけに、日本人の長距離ナンバーワンの東洋大・相澤晃(4年)との『花の2区』対決が予想されているが、本人は『坂は得意です。5区を走ってみたい』と話していて、サプライズ投入の可能性が残っている」(スポーツ紙デスク)