箱根駅伝で大番狂わせ!?関東学生連合が警戒される理由

 お正月の風物詩、箱根駅伝で「原スタイル」が復活する。これにより、2008年の“番狂わせ劇”が再現されるかもしれない。

「箱根駅伝の本番に先駆け、関東学生連合チームを率いる麗沢大・山川達也監督、コーチを務める駿河台大・徳本一善監督、上武大・近藤重勝監督がミーティングを重ね、その後、登録された学生メンバーとの話し合いが行われ、そこで決まりました」(体育協会詰め記者)

 説明するまでもなく、関東学生連合チームとは、予選会で敗退した大学の選手の中から、「1校1名、本番出走回数は1回まで、留学生を除く」などのルールのもとに選考された、その名の通り“連合チーム”のこと。連合チームはオープン参加のため、チームとしても個人としても順位はつかない。しかし、公式記録として認められていた2008年のことだ。青山学院大学の原晋監督が同チームを率いて、総合4位に食い込むセットアップ劇を見せたのだ。

 そして今年、連合チームに選ばれた16人(出場10人)は、総意として「出場選手を首脳陣に一任する08年の“原スタイル”で本番に臨みたい」とし、山川監督らを説得したという。

「通常、連合チームに選ばれた16人は、11月下旬に記録会を行い、そこで本番を走る10人を決めていました。そうすると選手はピークの調整を選考会に合わせ、肝心の箱根当日には調子を保てないリスクもある。なので今回は記録会を行わず、選手の選出を首脳陣に任せようというのです。この方法を取ったのが08年の原監督でした」(同前)

 学生たちも11月下旬に選考会をやれば、1月2、3日の本番に影響するとの考えだった。当たり前の話だが、箱根の出場権を獲得した大学は、11月下旬に記録会みたいなことはやらない。本番を見据えた調整により、スタミナを温存する。連合チームも同じ条件で臨むというわけだ。

「公式記録には残りませんが、彼らは勝つことを強く意識しているのでしょう」(同前)

 予選会でのハーフマラソン記録を見る限り、ズバ抜けて速いランナーはいないが、1時間3分台の山口武(東京農大)を筆頭に、登録選手16人は全員、1時間5分台以内の記録を持つ。東洋、駒沢、國學院、青学など強豪校には1時間1~3分台のエースがいるが、トップ10人の全体記録なら、ほぼ互角だ。

 連合チームを警戒する大学も出てきているという。箱根本番で“敗者復活”の大番狂わせはあるのか。今年は連合チームの力走が正月をさらに熱くしそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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