毎年、年も押し迫ったと思う頃に発表されるミシュランガイド。名店と星の数によってひきこもごもが生まれるのが毎年の恒例行事でもある。
時あたかもこの年末、2018年にガイドに掲載された大阪・梅田のたこ焼き店で脱税が発覚、18年4月までの5年間で1.4億円の所得隠しが行われていたことが、大阪国税局の税務調査で判明したというニュースが伝わった。また、2014年にオバマ大統領が訪日した際に、安倍首相が誘った銀座の寿司屋の名店「すきやばし次郎」が今年のガイドから外されたことも話題になった。理由は「一般人の客が予約できなくなったから」で、脱税と同様、ガイドの味の評価とは別の話だ。
だが近年、ミシュランガイドの是非を巡っては、あまり芳しい話を聞かない。
「ガイドがあまりに絶対的な権威を持ってしまったため、本国フランスでは星を辞退する店が現れたりしています。他にも、星の数を気にしたシェフが自死したり、星を落とされてしまった有名店がそれを機に一気に衰退してしまうなど、ガイドの掲載や星の数に料理界が振り回される現実には以前から危惧の声が上がっていました」(フード業界関係者)
今年のガイド発表で、お隣・韓国では「そもそも掲載から除外するよう求めていたにも関わらず、なおかつ低い星で掲載された」ことが侮辱罪に当たるとして刑事告訴する店が現れた。ソウルでイタリアンレストランを営む店なのだが、
「シェフはメディアの取材に対し、『ガイドは評価基準を公開しておらず、客観的な評価の提案も拒否した』『オープンから1年もたっていない飲食店や移転によりミシュランが強調する一貫性を十分に満たさない飲食店も星を獲得した』と話しています」(同前)
と、本当なら信憑性が揺らぎかねない主張をしているのだ。
同じ韓国・ソウルでは、韓国料理店が「星の売買があった」告発する動きも起こっている。どうもミシュラン信仰の弊害が次々と表面化しているのが現実なのだ。
(猫間滋)