巨人がブラジル出身の剛速球投手、元ホワイトソックスのチアゴ・ビエイラを獲得した。ビエイラは最速167キロのメジャーでも有数の速球投手で、まだ26歳と若い。巨人ファンからは、ビエイラから守護神のデラロサにつなぐ剛速球リレーに早くも期待が寄せられている。
「奪三振率の高いピッチャーで、メジャーには定着できませんでしたが、常時160キロ近いストレートを投げ続けています。一般的に速球派のリリーバーはフライアウトが多いのですが、彼はゴロアウトの確率が高い不思議なピッチャー。スライダーの曲がり幅が大きいからでしょう」(特派記者)
しかし、ビエイラには「運のないヤツ」というデータがつきまとっている。
制球力については、その指標とされる「K/BB」(奪三振数÷与四死球数)もさほど悪くない。「1.5」を下回ると制球難と呼ばれるが、それをすこし上回ったあたりで落ち着いている。バツグンに良くはないが、四球で自滅することはなさそうだ。
しかし「BABIP」なる数値を見ると、ちょっと心配になってくる。これは、本塁打を除いてグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合を示したもの。打者、投手ともに活用される指標だが、ビエイラはマイナーリーグでもこの被BABIP率で高い数値を記録しているのだ。
「バットに当てられたら、かなりの確率でヒットにされるということを意味します。ただし、味方野手の守備範囲の広さ、対戦打者に応じて左右に守備位置を変えるなどの不特定要素もあり、投手の能力を表す数値とは言い切れません。『BABIP無意味』と言い放つスポーツアナリストも少なくありません」(同前)
一般的には防御率4点台のピッチャーでも被BABIPは2割6〜7分台だ。それに対し、ビエイラは3割を超えている。BABIP否定派は味方野手による不特定要素を指して「単に運が良いか、悪いかだけだろ?」とも言っているそうだが、その言葉をビエイラに当てはめれば「運が悪いヤツ」ということになる。
BABIPには、ビエイラの最大の長所である奪三振率の高さは反映されていない。決して悲観的になる必要はないが、「バットに当てられたら、3割強の確率でヒットにされている」不遇さが、日本でも再現されなければいいのだが…。
(スポーツライター・飯山満)