人気や競技人口において日本の2大スポーツとも言っていい野球とサッカー。実は、ひと昔前と比べると、大学からプロに進む選手が増えている。
調べたところ、Jリーグの新加入・入団内定の大卒選手は、2001年には33人だったのに対して24年は120人。プロ野球(NPB)も、同じ期間で比較すると、Jリーグほどではないが22人から26人と微増している(※育成契約を含めると35人)。
「高卒選手が減り、大卒選手が増えた要因について枠組み的な面で言うと、Jリーグは加盟クラブ数の増加や、03年の特別指定選手制度の変更が影響しています。プロ野球も05年の育成選手制度の導入で入団する選手数が増え、即戦力になる大学や社会人、独立リーグは支配下契約、高卒はとりあえず育成という傾向が強まっています」(スポーツ紙記者)
これは獲得するチームの方針や事情によるところも大きいが、選手個人も高校からプロではなく大学進学を考える者が多いことも少なからず影響しているという。
「今のZ世代の特徴かもしれませんが、自分自身についても客観的に見ています。メディアに注目される有力選手でもプロになれるとは限らず、仮にプロ入りを果たせても成功できるのは一握り。さらに引退後の人生のほうが圧倒的に長い。でも、大卒であれば言い方は悪いですが高卒よりも潰しが利きやすい。そのことを理解しているのでしょう」(同)
また、プロはある意味世間から隔離された特殊な業界だ。
「高卒でいきなりプロに進んだ場合、選手として活躍できても社会人として視野が狭くなってしまいがち。人間性や社会的な成熟度で高卒選手より大卒選手のほうが世間に評価されやすい面もあることから、やはり大学進学は現役の道が閉ざされてしまった場合の保険の意味もあるのでしょう」(同)
プロを目指す選手にとって一見遠回りに思える大学進学だが、競技活動以外のことも含めて考えれば、むしろ人生におけるリスクヘッジになっているのかもしれない。