長友佑都、ベンチ入りすら叶わない日本代表レジェンドの土俵際

 W杯出場権獲得後の気の緩みか、それともこれが実力なのか。森保ジャパンがアウェーでオーストラリアに屈辱的な敗戦を喫した。一方、その裏では、ベテランDF・長友佑都が微妙な立場に立たされている。

 W杯アジア最終予選、日本代表はアウェーの地パースでオーストラリアと激突した(6月5日)。しかし、試合終了間際の痛恨の失点により0-1で敗北。すでにW杯本大会への切符は手にしているとはいえ、オーストラリアに土をつけられたのは2009年6月のW杯最終予選以来、実に16年ぶりという屈辱であり、決して負けてはならない相手だったのだ。

16年ぶりの屈辱、オーストラリアの「アジア流」徹底守備

「日本は13本ものシュートを放ったが、その全てが空砲に終わった。対するオーストラリアは、負ければW杯出場が厳しくなるという背水の陣で、まるでかつての日本がアジアの強豪相手に見せたような、アジア特有の徹底した守備的戦術を展開。まるで親善試合のようでしたね」と、あるサッカー担当記者は語る。

 格下と見られていた相手の老獪な戦術の前に、森保ジャパンは有効な打開策を見出せないまま時間を浪費した。この結果は、今後の戦い方に大きな課題を残したと言えるだろう。

消えた重鎮・長友佑都、代表での居場所なし?

 敗戦の責任は森保監督にあると言わざるを得ないが、このオーストラリア戦で特に注目されたのが、38歳のベテランDF長友佑都の扱いである。最終予選においては一度もピッチに立つどころか、今回もベンチ入りすら果たせていない。年齢からくる衰えは隠せないのか、それとも指揮官の構想から完全に外れてしまったのか。所属するFC東京でも主力とは言えず、チーム自体もJ2降格圏に低迷するなど、苦しい状況が続いている。

「Jリーグの試合後にはミックスゾーンで取材に応じる長友ですが、こと代表となるとまるで別人。最近では何も語らずに通り過ぎることが増えた」と、FC東京の担当記者はその変化を指摘する。かつては闘志あふれるコメントでチームを鼓舞してきた男の沈黙は、何を意味するのだろうか。

「長友外し」現実味…W杯本大会メンバー選考の非情

 W杯本大会まであと1年あるとはいえ、メンバー入りに向けては、はっきり言って土俵際に立たされているのである。「W杯の本大会では、ベンチ入りメンバーとは別に、練習要員としてのバックアップメンバーが選出されるのが通例だ。しかし、今の長友の状態では、そのバックアップメンバー入りすら危うい。チームスタッフの間から『長友外し』の声が上がっても何ら不思議ではない」と、古参のサッカー記者は厳しい見方を示す。

 森保監督は、前回のW杯メンバー選考において、当時チームのエースストライカーだった大迫勇也(現・神戸)を非情にもメンバーから外した過去がある。実績や経験だけでは代表の座は保証されないという冷徹な判断を、今回も下す可能性は否定できないのだ。

 W杯予選のホーム最終戦となる10日のインドネシア戦でもベンチ外となるのか。一時代を築いたベテランDFの代表キャリアは、今まさに重大な岐路に立たされている。

(小田龍司)

スポーツ