今夏の参議院選挙は消費税減税が大きな争点になりそうだ。1年間の「食料品の消費税ゼロ」を掲げる立憲民主党をはじめ、日本維新の会や社民党も食料品の税率0%。他の野党も「消費税の税率一律5%」を訴えているが、自民党の森山裕幹事長は6月2日に「自民党が消費税を下げるような公約はどんなことがあってもできない」と慎重な姿勢を崩さない。
6月8日放送のテレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」に“緊急参戦”したのは、財務省で主税局総務課長などを務めた元財務官僚の森信茂樹氏。各党が打ち出す減税政策について、「2種類あるわけですね、減税論。5%にしろという減税論と食料品だけゼロにしろという…」と前置きしてこう断言した。
「この食料品ゼロというのはですね、私は効果のない政策だと思うんですよ」
さらに森信氏は農家を例に挙げてこう続けた。
「農家がコメ作りますね。それでゼロ税率になると、売る時はゼロですから、消費税分はもらえないわけですね。だけど、農家がコメを作るのには、肥料代がかかったり、ガソリン代がかかったり、いろんな電気代がかかったりして消費税払ってるんですよ。10%。そうすると農家は、ゼロで本体価格だけで売れと言われてもね、自分が払ってる消費税分をどうしても上乗せしないとペイしない」
これに進行役の阿川佐和子が「でも本体価格が安くなれば消費はふくらむんじゃないですか」と質問するも、森信氏は「それはまた次の問題」と遮って、「今のこの減税論について、消費税の減税というのがどういうことかっていうのをお話ししてるんですよ」と突っぱねた。
財務省OBが食料の「消費税ゼロ」を一刀両断したことで、SNSでは《財務官僚は信用できない》《払った消費税は仕入れ税額控除で戻ってくるんじゃないの?》《もらった消費税は納税するんだから一緒だろ》などとツッコミが殺到していた。
「2023年に導入されたインボイス制度では売上にかかった消費税の額から仕入れに支払った消費税額を控除して、差額を消費税として納付するシステムが取られています。インボイスを導入していれば、仕入れ控除で払った分の消費税が還付されるはずでは…。食料品だけ消費税をゼロにするのが問題ならば、財源の話は抜きで国民民主党などが主張する『一律5%案』を真剣に議論すべきだったかもしれません」(メディア誌ライター)
多くの視聴者が理解に苦しんだ複雑怪奇な消費税の仕組みをリセットしてほしいものだ。
(福島シゲル)