やよい軒「メニュー値上げラッシュ」でも評価された「ごはんおかわり自由」の継続

 定食チェーン「やよい軒」は、5月8日からしょうが焼き定食や肉野菜炒め定食など一部メニューを60円(税込み、以下同)、サバの塩焼き・味噌煮定食を50円、おかずミニを20円値上げしている。

 原材料費や人件費、物流費の高騰を受けた苦渋の判断とはいえ、価格が700円台後半から1000円超へ跳ね上がった商品もあり、《これまでと同じ感覚で通えなくなった》と嘆く声が相次いでいる。

 ただ、《やよい軒を選ぶ理由は何よりごはんのおかわり自由》という根強い支持も健在だ。農水省が公表した量販店での精米平均販売価格は、5月5日からの週で5キロ4268円と、前年同週の約2300円から約1.8倍に高騰している。外食でごはんを心ゆくまで味わえる無料サービスには大きな価値があるのも確かだろう。

 実は、この「ごはんおかわり無料」も、かつては廃止になりかけたことがある。2019年4月に、一部店舗で、セルフ方式のごはんおかわりを30~100円で有料化する試みを実施したのだ。すると、《せめておかわり一杯は無料に》《こんなの聞いてない!》などの批判が殺到し、わずか1カ月半で撤回したという過去がある。

 ライバル店の大戸屋では、ごはんのおかわりは有料(追加一杯185円)で提供されていることから、やよい軒の「おかわり自由」が大きな強みであることは間違いないだろう。

 最近のやよい軒では、新メニューや店舗改装、店内演出の強化が相次いでおり、5月9日からは、愛媛県産アカモクを使った「アカモクねばとろ定食」(950円)と、から揚げや焼魚を組み合わせた派生定食が登場し、栄養豊富な「ねばねば」メニューが話題を呼んでいる。さらに、5月20日からは銀鮭の西京焼としまほっけを一度に味わえる「銀鮭の西京焼としまほっけの定食」(1150円)も発売され、魚好きには見逃せない。

 外食チェーン店はいずれもコメ価格高騰のあおりを受けている。今回の値上げも、「ごはんおかわり無料」を維持するためと思えば許容範囲、と納得するファンも多いようだ。

(ケン高田)

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