2017年、39歳という異例の若さでフランス国民に期待されて就任したマクロン大統領。だが、最近では年金受給年齢の先延ばし問題や緊縮財政などで失速、支持率は危険水域の20%すれすれとなっている。右派政党のの追い上げにあい、精彩がない。しかし「対トランプ大統領」となると各国首脳が恐れをなし借りてきた猫のようになる中で、ひとりガチンコ対決して威勢が良い。そのため、トランプ氏の暴走を止められたら、フランスのみならず世界のマクロンとして輝くという期待の声も強まっている。
マクロン氏が示す、トランプ氏への強気の姿勢を解説するのはアメリカの記者だ。
「マクロン氏はトランプ大統領の1期目から、環境軽視のトランプ氏に対して歯に衣を着せない発言をおこなっていましたが、2期目はその姿勢が輪をかけて強い。2月24日に行われたウクライナをめぐる米仏首脳会談の席では、トランプ大統領が記者団との質疑応答で『欧州は貸付の形でウクライナを支援していて、いずれ返済を受ける』と述べると、なんとマクロン氏はトランプ大統領の右腕に腕を伸ばして待ったをかけた。そして『欧州の支援の6割は無償だ』と英語で訂正してみせたのです」
また、両首脳の「握手外交」も健在だった。トランプ大統領とマクロン大統領は、2017年に初めて対面して握手したとき、相手の手が真っ白になるまで27秒間も握り合って「まるで格闘技」と話題になった。トランプ氏はこの握手で相手の強さと波長を見るという。ちなみに、お気に入りの安倍元首相とは19秒だった。
「24日も、2人は互いの信頼を確認するかのような長く強い握手を繰り返していた。そのためトランプ氏の手に痣ができ、一部メディアが健康不安説を唱えたほど。その会談でマクロン氏は、トランプ氏の停戦への動きに感謝の姿勢を示しつつも『停戦にはウクライナの安全保障が必要』としっかり釘を刺した。世界の首脳でトランプ氏にこれほどズバズバものが言える首脳はマクロン氏以外に見当たりません」(同)
果たしてマクロン氏の厳しい言葉が、トランプ大統領にどれほど響いているかは今後の対ロシア、対ウクライナの姿勢で明らかになる。日米首脳会談で話題になった石破首相の握手が「能面握手」ならマクロン氏は「格闘技的握手」だ。果たしてマクロン外交は功を奏するか。
(田村建光)