「リアル・アルマゲドン」小惑星「2024 YR4」が地球衝突の場合に実行されるミッション

 ハリウッド映画の「アルマゲドン」は、地球に衝突するかもしれない小惑星が地球に近づきつつあるため、主人公ら石油採掘のスペシャリストが小惑星に飛び立ち、核爆弾で小惑星を吹っ飛ばして地球は救われ…といった話だが、実際、地球に衝突しそうな小惑星というものは一定確率で現れる。1月29日にNASAと欧州宇宙機関がそれとしたのが、「2024 YR4」と命名された小惑星だ。

「この小惑星は昨年12月27日に、チリにあるNASAの警戒システムで発見されました。いったん地球から遠ざかって、28年に再び観測できる範囲内まで近づいてから、32年に1%強の確率で地球に衝突するかもしれないというのです。小惑星は直径およそ44~100メートルほどですが、もし地球に衝突したら、広島に落とされた原爆の500倍の衝撃を受けるそうです」(全国紙記者)

 なんとも大きな話であまりピンとは来ないが、比較の好例としては、1908年にロシア中部のシベリアで起こった「ツングースカ大爆発」というものがあるという。直径50~60メートルの隕石が大気中で爆発。この時は東京都と同じ広さの樹木がなぎ倒され、1000キロ離れた家の窓ガラスまで割れたという。都市部に落ちていれば未曽有の被害となったのは言うまでもない。

 では「2024 YR4」対策はどうするのか。28年に再び接近してき始めたところで軌道を正確に分析し、「危険!」となれば衝突回避ミッションが遂行される運びになるという。

「NASAによる『DART(二重小惑星方向転換試験)』というミッションが遂行されることになります。探査機を小惑星にぶつけて軌道を変えるというものですが、実際に21年11月に探査機DARTが打ち上げられ、22年9月にディモルフォスという小惑星に衝突し、周期を変えることに成功しています」(同)

 もっとも、世の中に絶対はなくリスクはリスクとして残り、28年の観測まで正確な大きさも分からないという懸念もある。一方で初期観測に比べ衝突確率は低まるという楽観的な要素も。さてこのリアル・アルマゲドン、実行される時はくるのか。

(猫間滋)

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