【北朝鮮】巡航ミサイルを試験発射 トランプ大統領に「核保有国」と呼ばれた金正恩の腹の内

 大統領に就任した1月20日、北朝鮮を「核保有国」と呼び、北朝鮮の核能力を認めるような発言で波紋を広げたトランプ米大統領。さらに同日夜の舞踏会でも、韓国の米軍基地「キャンプ・ハンフリーズ」に在韓する米軍将兵たちとオンラインで会話し、「金正恩はどうしている?」などと交渉の意思を示した。

 そんなトランプ氏は23日にも、FOXニュースの司会者ショーン・ハニティ氏によるインタビューで、「金正恩と再び連絡を取るのか?」と質問され、「そうするつもりだ」と明言。続いて正恩氏を「彼は宗教的狂信者ではない。賢い男だ。彼は私のことが好きだった。私は彼とうまくやっていた」と述べ、一日も早い首脳外交再開をアピールしている。

 とはいえ、トランプ氏にとってまずやるべきは、国内経済の立て直し。そして外交面で言えば、ウクライナやイスラエル等の問題もある。そんな中、なぜトランプ氏はあえて早急な米朝首脳会談を望んでいるのか。実はその理由に、ウクライナ問題解決があるのではないかと専門家は指摘する。

「もちろんトランプ氏が最優先課題に掲げているのはウクライナ戦争終息。ただ、物事を進展させるためには、まず北朝鮮軍を撤収させなければならない。北朝鮮は現在、ロシアに対し数千人規模の兵士を派兵していますが、同時に兵器提供を行っています。しかもこの数は増えるばかりとされ、トランプ氏は、これを止めなければロシアが戦争終結のテーブルに着くことはないと考えている。そのため現在、様々な非公式チャンネルを通じ北朝鮮側と接触を計っていると言われています」(外交問題に詳しいジャーナリスト)

 一部報道によれば、すでにトランプ新政権では特別任務を担ったグレネル特使が北朝鮮政府筋と水面下で交渉に乗り出している、との情報もあるが、一方で「今回は前回のように、そう簡単には首脳会談が実現しないのではないか」との見方もある。

「北朝鮮はこのウクライナ戦争を通じ、武器弾薬の供給や兵士の派兵で数十億ドルという途方もない外貨を獲得しています。その大半が正恩氏の懐に入っているとされる現状で、素直にトランプ氏の条件を飲むかどうか。災害や国内における飢餓問題で喉から手が出るほど外貨が欲しかった前回とは状況が異なるため、そう簡単に妥協点を見つけられなくなっているのではないか、とも言われているんです」(同)

 しかも、第1期トランプ政権の際、ハノイにおける会談で正恩氏はノーディールで耐え難い屈辱を受けたことは想像に難しくない。それを考えると、会談に応じるにしてもトランプ氏側の相当な譲歩が必要になると考えられ、難航も予想される。

 そんななか、26日には北朝鮮が前日に巡航ミサイルの発射試験を行ったことを発表。それを伝えた朝鮮中央通信によれば、「1500キロを低高度で飛行し、目標物を精密に打撃する誘導技術を誇示した」という。

 はたして、この巡航ミサイル発射はトランプ氏に対しどんなメッセージを秘めているのか。会談の行方が気になるばかりだ。

(灯倫太郎)

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