「もう1場所見るべき」親方衆で意見が割れた豊昇龍の横綱昇進…強行裏にインバウンド

 モンゴル出身で6人目となる横綱・豊昇龍が誕生する。1月27日に開かれた横綱審議委員会(山内昌之委員長)の定例会見で第74代横綱に推薦することを全会一致で決めた。

 初場所は優勝決定巴戦による逆転優勝となったが、それまでは12勝3敗。しかも平幕に敗退している。

「親方衆の中では、もう1場所見るべきだという声が多かった。横綱昇進を最も望んだのは八角理事長を筆頭にした協会執行部です」(相撲担当記者)

 日本相撲協会は今年、財団法人設立100周年。加えて、秋にはロンドン巡業が行われ、来年6月のパリ公演も決まった。

「協会は令和5年の決算で4年ぶりの黒字になった。コロナ禍が明け入場制限が撤廃されたことが要因ですが、インバウンド需要が下支えしている部分が大きい。そこで、ロンドン巡業をきっかけに海外巡業を拡大していきたい意向があるなか、いきなり横綱不在となるとイメージ的には大きなマイナスになる。是が非でも豊昇龍を昇進させたかったわけです」(同)

 しかし…。その豊昇龍は優勝から一夜明けた会見で、いきなり約11分の遅刻。「すいません。寝てました」などと苦笑いだったが、外国出身横綱では必ず問われるのが「横綱の品格」。経緯を考えれば、余計に浮かれている場合ではない。

(小田龍司)

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