横綱照ノ富士が現役引退し、年寄照ノ富士を襲名することが発表
4日目の相撲は目も当たれない無惨な内容だった。これまで7勝3敗とカモにしていた翔猿の動きについていけず2敗目。取組後は付け人が“取材はできない”と断り「無言」を貫いた。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「(照ノ富士の取り口について)長引いたらダメ。早く勝負をつけないと…」と横綱のスタミナの無さを指摘した。顔色の悪さ、下半身の筋肉もない。とても相撲を取れる状態ではない。それでも照ノ富士本人が場所前「意地でも初場所は出る」と所属する伊勢ケ浜部屋の関係者に直訴しての出場だった。
「両膝痛は装具や痛み止めで誤魔化せますが、糖尿病による食事制限が大きく影響しています。力士は今も昔も食事で体力をつけるのが基本なのだが、それができないのが今の照ノ富士です」(相撲協会関係者)
今場所ダメだったら進退問題にもなりかねない緊張感で張り詰めている日々のはずが、2日目には実母オヨンエルデナさん、ドルジハンド夫人、長男・照務甚(テムジン)君を招いたことを照ノ富士自身が明かした。これは異例のことで、何かを覚悟している現れだったのだろう。
場所前のインタビューでは「新横綱誕生」を願っていると言い、「他のスポーツをやっている子たちに相撲に興味を持ってもらいたい」と話すなど、モンゴル勢の中でも相撲愛の強い照ノ富士。
「これまでと違って取組前の支度部屋で横綱に笑顔も出ている。多くの関取衆とも雑談することも。今までそんなことはなかった」(相撲関係者)
年寄照ノ富士として5年間は協会に残ることができるが、その後は年寄株の取得が必要になる。奇しくもモンゴルの後輩、豊昇龍は横綱昇進に向けて独走中。これも引退決意の後押しになったかもしれない。
(小田龍司)