原巨人がクライマックスシリーズ・ファイナルステージ(以下=CS)を制し、日本シリーズ進出を決めた。その牽引役となったのは、原辰徳監督も勝利インタビューで名前を挙げていた4番・岡本和真。昨年のCSではファーストステージを合わせても、3試合でヒットは僅か1本だった。
この別人のような活躍には、メンタル面での成長が隠されていた。
「右バッターの岡本は、左打ちでのティー打撃を練習していました。バランス感覚を見直すためです」(スポーツ紙記者)
CSファイナル前、岡本は「1本が出ればノッていける」と話していた。その言葉通り、初戦の第1打席に1発が出て、3試合で3発を放つ活躍を見せた。しかし、好調の要因は「左打ち練習」だけではなかった。
「精神的に一人立ちできたのでしょう」(球団関係者)
今季前半、岡本の調子はイマイチだった。途中、ベテラン阿部慎之助に4番の座を明け渡したこともあった。原因は、相手チームのマークが厳しくなっただけではなかった。
「昨季まではお目付役だった二岡智宏コーチが退団し、岡本に対戦投手の配球を教えていた志田宗大スコアラーがベンチ登録から外れてしまいました。志田スコアラーは対広島専属となり、岡本と話をする機会が減ってしまったんです」(同前)
誰かに頼らず、自身で考えて野球に取り組むようになったという。左打ちのティー打撃にしても、自分自身でバランス感覚が崩れていると把握してのことだ。シリーズ進出が決定した直後、原監督は興奮した口調で岡本のことを褒めていたが、打てなくなるとすぐに打撃コーチやスコラアーに頼っていた岡本の変貌に喜んでいたのかもしれない。
もっとも、岡本は喜怒哀楽を表現するのが苦手。ストレートに喜びを表現するのは結果を積み重ね、自信を深めてからになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)