「秋の抜け毛」をおさえるには? 知っておきたい理由と対策

 ここ最近、風呂場や洗面所で、やたらと抜け落ち落ちた自分の髪を見つけるようになった、と感じている人は多いのではないか。実は秋は、1年のうちでもっとも抜け毛が増える季節だ。動物には換毛期という期間があり、それが「3月の春」と「10月の秋」。なので、正常な状態での毎日の抜け毛、およそ100本に対し、秋の抜け毛はその2倍以上が抜け落ちる、と言われている。

 通常、7月には髪の毛母細胞が休止期に入り、栄養が供給されなくなることで髪の成長が止まり、それから3、4か月後に脱毛するというのが髪のサイクルだ。加えて、夏には髪が紫外線によって必要以上にダメージを受けるため、どうしても春より秋のほうが抜け毛が多くなるようだ。

 夏の紫外線にはA波(UVA)とB波(UVB)があり、毛母細胞に直接影響を与えるのがA波、髪の毛の日焼けや変色を引き起こすのがB波で、これらのダメージを受け続けることで、毛球で新たな細胞を増殖させることが困難となり、結果、髪の毛が抜け落ちてしまうのである。

 しかも、夏は紫外線の影響以外にも、汗や皮脂によって頭皮の汚れが激しくなる時期。毛穴の詰まりをそのまま放置しておけば、当然菌が増殖。そんな状態で秋を迎えれば、抜け毛が増えるだけでなく、頭皮が炎症を起こしたり悪臭を引き起こす場合もある。

 では、秋の抜け毛を少しでも少なくする方法はあるのか。それが、正しいヘアケアで頭皮環境を守ることと、生活習慣の改善だ。先にふれたように、不衛生な状態でいると雑菌が繁殖するリスクは各段に高まる。そのため、まずは仕事から帰ったあと、あるいは運動して汗をかいたあとは、必ずシャンプーで皮脂や汗を落とし清潔に保つよう心がけることが重要になる。

 ただ、ここで注意してもらいたいのは、シャンプーは1日1回にしておくこと。なぜなら、過剰な皮脂の洗い流しは、かえって頭皮環境を悪化させ、炎症を引き起こす要因になるからだ。

 シャンプーをする場合は、最初にお湯だけで髪と頭皮を丁寧に洗い、髪の表面の汚れを落とした後、シャンプーを適量手に取り、お湯と混ぜて軽く泡立てる。そして、力を入れゴシゴシ洗ったり、爪を使うのではなく、泡を指の腹で頭皮を優しくもみほぐすように洗うよう意識する。もちろん、シャンプーのすすぎ残しは、ニオイやかゆみ、炎症などの原因になるため、きっちりと洗い流し、洗髪後はすぐに乾かす。髪というのは濡れたまま放置しておくと、湿気により頭皮に雑菌が繁殖。それがフケやかゆみ、抜け毛の原因となる。そのため、すばやく乾かし雑菌の繁殖を最小限にすることがベスト。

 また頭皮の血行を良くするためにはシャワーだけでなく、お湯に浸かり体を温めたほうがいい。その際も、湯船で頭皮をもみほぐすよう優しくマッサージするよう意識してみよう。入浴がストレスを緩和し、自律神経やホルモンのバランスを整えるのに効果的だというのは、よく知られる話。できるだけ、シャワーで済ませるのではなく、風呂に浸かることを意識したい。

 そしてもうひとつ。秋の抜け毛対策として挙げられるのが、髪の毛への栄養補給だ。髪の毛を作っているのは、たんぱく質の一種であるケラチン。たんぱく質はむろんのこと、ビタミンやミネラルなどの栄養素は必須だ。ところが、夏場はどうしても暑さの影響で食欲が減退。それが巡り巡って秋の抜け毛として現れることもあるので、ビタミンやミネラルを多く含む食材を積極的にとることをオススメしたい。

 生物学的に避けられない秋の抜け毛だが、頭皮を清潔に保ち、きちんとした食生活と生活習慣で抜け毛を減らすことは可能になる。是非明日からチャレンジしてみてはいかがだろうか。

(健康ライター・浅野祐一)

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