「コロナ抜け毛」は錯覚だった!? 自粛生活で最も警戒すべき「首の違和感」

 コロナ禍により専門家の無料電話相談に「抜け毛」で悩む人たちが殺到している——。そんな話題が「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日系)で取り上げられたのは5月5日のこと。

 番組では長引く外出自粛で生活のリズムが乱れたことに加え、栄養の偏りや運動不足などで血流が悪くなったことで、抜け毛を訴える人が増えているとして、その実態と対処法を紹介。

 だが、SNS上では「コロナ=抜け毛」という番組構成に「なんでもコロナのせいにする性根がキミをハゲにする!」「コロナ抜け毛って…ただの不摂生な生活のせいじゃないの?」といった疑問の声とともに、「ええ、数十年前からコロナ抜け毛がすごいです。ええ、ただのハゲです」「オレは数年前からコロナだったんかい?」等々、自虐を込めた声が続々上がり、同日のヤフートレンドワードで一時、「コロナ抜け毛」がなんと第1位にランクイン。

 とはいえ、医療関係者によれば、「薄毛の進行はたしかに生活習慣も原因の一つとして考えられますが、自粛モードが半年、1年続いているならまだしも、活動を自粛して1カ月程度では、まだ頭皮へ影響があるとは考えにくい。それより、最近は巣ごもりでのリモート生活による”スマホ首”のほうがよほど深刻な問題になっている」という。 

 スマホ首とは長時間のスマートフォンやPCの使用が原因とされる、首や肩の痛みやしびれのことで、よく耳にする「ストレートネック」の症状の1つ。

「人間の頭は重く、成人で体重の約10%、約4〜6キロがそれにあたり、我々はその頭を7つの首の骨である”頸椎(けいつい)”で支えています。ところが、自粛やテレワークにより今まで以上にスマホやタブレットを長時間使うようになり、首に負担がかかる時間が圧倒的に増えた。結果、頸椎が本来の湾曲を失ってしまい、それが筋肉疲労による肩や首、背中の痛み、頭痛、吐き気、めまいとして表れるようになったんです」(前出・医療関係者)

 ストレートネックは重症化すると頸椎ヘルニアや不眠症、そしてうつ病の発症率が高まるとも言われている。

「長時間の座り過ぎは体内の血流量を減少させ、疲労性物質を蓄積させます。しかも非常にゆっくり進行するので、気づいたら重症になっていたというケースも少なくありません。つまり、抜け毛で命が脅かされることはありませんが、ストレートネックはその危険があるということ。しっかりと肝に銘じるべきです」(前出・医療関係者)

 なるほど、そう考えると、「コロナ抜け毛」論争など、取るに足りない!?

(灯倫太郎)

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