広島に3タテを食らえばマジックが点灯する土俵際のピンチを、巨人の高卒2年目・浅野翔吾が救った。
8月21日の巨人対広島戦(東京ドーム)。巨人は7回表に0-1と先制された裏の攻撃で、二死2塁のチャンス。そこで、それまで2打席凡退だった浅野が床田寛樹のツーシームを完璧に捉え、同点2塁打を放った。これが岡本和真の決勝3ランを演出する形となり、4-1と何とか広島の勢いを押しとどめたのである。
阿部慎之助監督は7回の浅野の場面で代打も頭をよぎったそうだが、「個人的には彼がスターになって欲しいので期待を込めて使っている」と話している。浅野は主力として定着していた助っ人ヘルナンデスの左手首骨折を受け12日に緊急昇格。130日ぶりの先発出場となった阪神戦(14日・東京ドーム)で放った今季初安打が先制決勝の満塁アーチという大仕事をやってのけ、逆転Vに向け阿部巨人のラッキーボーイになりつつある。
「阿部監督が言うように、巨人では高卒2年目のブレークとなるとスター誕生の期待が高まる。なぜなら松井秀喜と坂本勇人がそうだったからです」(夕刊紙記者)
松井氏は高卒2年目の1994年に全130試合出場を達成、勝った方が優勝という伝説の10・8(対中日)にも先発出場して20号を放ち、リーグ優勝、そして5年ぶりとなる日本一にも貢献した。坂本の場合も2年目に開幕スタメンを奪取。この年のオールスターゲームでは中日の井端弘和氏を抑えファン投票で選出されている。
「浅野の場合、特に坂本の出世パターンとよく似ていて、坂本は当時主力の遊撃だった二岡智宏(現巨人ヘッドコーチ)の怪我で遊撃のレギュラーを獲りました。浅野も今回、ヘルナンデスの骨折がなければ1軍にはいませんからね」(スポーツ紙巨人担当記者)
浅野が持っているか、いないのか…。それは巨人が逆転Vを達成するかどうかにかかっている。
(小田龍司)