8月14日に岸田文雄首相が自民党総裁選への不出馬を表明すると、永田町関係者は驚いたものの、通常なら政治の先行き不透明感を嫌う株式市場は、まるで織り込み済みかのように反応を示さなかった。
「不出馬表明直後こそ、さすがに日経平均株価は下げる場面がありましたが、その後はアメリカ経済の堅調な動向を受けるなどして戻しました。さらに翌日は前日比284円高、翌々日も前日比758円高で3万8000円台を回復。週明け19日は下げて始まりましたが、株価の動きに岸田首相不出馬の影響は見られませんね」(経済ジャーナリスト)
日経新聞も岸田首相の不出馬に関連して「株価 インパクトない」と報道している。15日には内閣府から4~6月の第4半期のGDPが発表され、これが年率換算でプラス3.1%という良い数字だっただけに「インパクトのなさ」に拍車がかかった形だ。
「むしろ、市場関係者の関心は、7月に日銀の利上げに注文をつけた河野太郎デジタル相や茂木敏充幹事長らの発言など、早くも次の首相候補の経済政策に移っていますね」(前出・ジャーナリスト)
9月20日とも言われる総裁選で新総裁が決まり、直後の臨時国会召集で新首相が指名される予定だが、まだ1カ月も先のこととはいえ、岸田首相はもはや、株式市場では「とっくに過去の人」のようだ。
(猫間滋)