「ロシア最強の特殊部隊」は名ばかりだった“ほぼ壊滅”の張りぼて実態

 世界各国の軍隊に存在する精鋭部隊。主なところでは米国のグリーンベレーやデルタフォース、ネイビーシールズをはじめ、英国のSASやSBC、フランスのGIGN、ガザ地区での対ハマスの戦闘でも人質救出などを担うイスラエルのサイェレット・マトカルなどが有名だ。

 いずれもミリタリーマニアの間では最強の一角に位置づけられているが、現在、ウクライナへの侵攻を続けるロシアにも存在する。それがロシア最強の特殊部隊とも言われた通称「スペツナズ」だ。

「ただ、スペツナズは5000人規模の旅団で、ロシア国内にはこれが9つもあるんです。ちなみに米軍のグリーンベレーは2000人に満たないと言われ、各国の精鋭部隊も大差ありません。つまり、スペツナズは“部隊”と呼ぶにはあまりに規模が大きすぎるんです」(ロシア事情に詳しい大手紙記者)

 精鋭部隊でこれだけ人数が多いとあれば脅威以外の何物でもないが、現在のスペツナズに関しては名前先行の感が否めないとか。

「ロシア語では広い意味での特殊任務を指す言葉で、軍隊に限らず警察の暴動鎮圧部隊、消防のレスキュー隊もスペツナズと定義されます。軍隊にしても精鋭はあくまで一部。実は兵士1人あたりの戦闘能力は諸外国の精鋭部隊ほど高くないと言われているんです」(同)

 米紙「ワシントン・ポスト」はネット上に流出した米国防総省の機密文書を入手。それをもとにスペツナズの各旅団が22年夏までに深刻な損害を被り、すでに前線から離れていると23年4月の時点で報じている。

「この記事では『旅団によっては兵員の90~95%を失っている』や、ある部隊の状況について『派遣された900名のうち、活動可能なのは125名』など具体的な記述もありました。しかも、これらの情報は欧米メディアの裏付け取材などから信ぴょう性の高いものとして認識されています」(同)

 海外の戦争映画にもたびたび登場するスペツナズだが、我々がイメージするような精鋭部隊ではなかったのかもしれない。

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