ヤクルトは現在、中日と最下位争いの真っ只中。21年リーグ優勝&日本一、22年ペナントレース連覇を果たしたことが遠い昔のように思えてならない。チーム再建が喫緊の課題だが、じつはこの連覇こそが再建の足かせとなっている。投打の主軸メンバーが複数年契約を交わし、その多くが今季「契約のラストイヤー」を迎えたのである。
「最大の関心は、サンタナとオスナの両外国人選手です。サンタナは昨季にいったん契約が終わり、オプションを行使しての1年残留です。5月11日現在、セ・リーグの首位打者で、打点21、本塁打4。オスナも打点トップです」(プロ野球関係者)
サンタナの今季推定年俸は245万ドル(約3億8000万円)、オスナは200万ドル(約3億1000万円)だ。「交渉は300万ドルスタート」とも言われるが、外国人スラッガーの不甲斐なさに泣かされている球団は少なくない。「ヤクルトが出せないならウチが出す」と言い出す球団も出てくるだろう。とはいえ、この優良外国人選手2人だけを厚遇するわけにはいかないのだ。
「3年総額6億円の中村悠平、4年総額7億5000万円の小川泰弘、4年7億円の石山泰稚も最終年です」(スポーツ紙記者)
また、複数年契約の途中だが、3年総額18億円の村上宗隆は今季が2年目。総額40億円の山田哲人は7年契約の4年目で、昨年オフに田口麗斗も3年総額5億5000万円の契約を交わしている。村上、山田、田口の3人だけで来シーズンも約13億円かかる計算なので、サンタナ、オスナ、中村、小川、石山らと残留交渉を進めるとなれば「チーム総年俸」が一気に、いや、さらに跳ね上がってしまうだろう。
5月2日に労組・日本プロ野球選手会が発表した今季の支配下選手716人(外国人選手や非会員選手を除く)の平均年俸によれば、ヤクルトは5050万円。12球団中4位の“高給取り球団”である。上位3チームのソフトバンク、巨人、阪神は優勝争いをしている。このまま最下位争いが続くようであれば、サンタナたちとの残留交渉の内容も変わってくる。
複数年契約の選手が多いのは、連覇で大盤振る舞いしたツケか? 高津臣吾監督も頭が痛いところだ。
(飯山満/スポーツライター)