ペルシャ湾に面しているが、陸地は砂漠地帯で雨がほとんど降らないことで知られる中東の大都市ドバイ。だが、4月16日には年間降雨量の94.7ミリを上回る雨に見舞われ、街のいたるところが洪水で水没する事態となった。
現在はすでに天気も回復。水も引いているが、ドバイ在住駐在員のT氏はメディアで報じられる“大雨”との表現に違和感を覚えるとか。
「一時は台風上陸時のような激しい雨と強い風に襲われましたが、それがずっと続いていたわけじゃない。むしろ、あの程度の雨量で街じゅうが氾濫したことに驚きました」(T氏)
実は、16日の24時間降水量はドバイ観測史上初とはいっても142ミリ。一般的に1日50ミリ以上が大雨と定義され、その表現自体は間違っていない。ただし、日本国内の歴代1位となる24時間降水量は、19年10月21日に箱根で記録した922.5ミリで足元にも及ばない。
「断言できるのは、日本じゃ洪水になるほどの大雨ではないということです。正直、街全体の排水環境が思った以上に脆弱でした」(同)
ドバイは沿岸部に沿った南北に細長い街だが、幹線道路もあちこちで冠水し、駐車場も軒並み水没。動かなくなったのか路上に放置されている車も数多くあったという。
「大洪水で濁流に流された人もいましたが、その一方でニュースではジェットスキーやシーカヤックなどを楽しむ人の映像も流れていました。ただ、水が引いた後は街じゅうが泥まみれ。ドバイはもともとキレイだったのにその面影はありません」(同)
なお、ドバイでは今回の大雨の原因について“ある噂”が流れている。
「人工降雨が原因という内容です。21年にドバイ政府が実験に成功しており、それで今回の大雨と洪水は人為的なものだと考えている人が多いみたいです」(同)
ただし、ドバイの国立気象センターは、16日には雨雲の素を散布する「クラウドシーディング」は行っていないと人工降雨説を否定。フェイクニュースと見られているが、関連性を指摘する海外メディアもあり、こちらを巡る騒動はまだしばらく続きそうだ。