バイデン米大統領は12日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、2億ドル(約290億円)の追加軍事支援を表明した。会談後の会見では「私も米国民もウクライナに背を向けることはない」として来年以降の支援継続を強調したが、米議会の下院で多数を占める共和党が支援予算に慎重な姿勢を示しているため、現段階では予算成立の目途は立っていない。
その翌13日、CNNがこの戦争にまつわる衝撃的なニュースを報じた。ロシア軍が、ウクライナへの侵攻を開始してからの2年間で、なんと地上兵力のうち87%、戦車の3分の2をすでに失っているというのである。ロシア軍の予想を超えた苦戦ぶりに、西側諸国にも衝撃が走った。
「これは米情報機関が米議会に提出した報告書に記載されたもので、ウクライナに侵攻したロシア軍兵士約36万人のうち、31万5000人はすでに戦場で死亡、あるいはケガによる帰還や投降で失われているというのです。戦車も3500台中2200台を喪失、さらに1万3600台あった歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車も4400台が破壊されているとしています。ウクライナへの支援継続をめぐり与野党間での攻防が続く中で、国会に提出された機密解除情報なので、その数字がどこまで正確なのかはわかりませんが、少なくとも、
だが、一方のプーチン大統領は、どれだけ兵士を失おうが、装備の大規模損失が明らかになろうが、ウクライナ侵攻を中止する気は毛頭ないようだ。来年2月で開始から丸2年となるが、今後も戦争を継続すると明言している。なぜやめられないのか。
「プーチンが繰り返し述べているように、彼の頭の中には『ロシア人とウクライナ人は民族的に一体であり、ウクライナはロシアの一部であるべきだ』という考えが基本にある。それを阻む欧米諸国側にこそ、戦争の原因があるという信念は変わりません。ただプーチンは当初、キーウを1週間で占領し傀儡の大統領を据えて、NATO拡大に終止符を打つと単純に考えていた。だからこそ、閣僚や軍司令官からの進言に耳を貸さず戦争に突き進んだのです。ところが、予想に反してウクライナの抵抗が大きかった。まさか苦戦するとは思っていないプーチンは他のプランを用意していなかったため、何度も司令官を交代させながらも戦争を続けざるを得なかった。しかも今や、
ウクライナ全土掌握は、もはや諦めていると言われるプーチン大統領。停戦の「落としどころ」は彼の頭の中だけにある。
(灯倫太郎)