10月7日にパレスチナ地域を実効支配するイスラム主義組織のハマスがイスラエル南部を襲撃して始まった戦闘状態は、10日現在で死者1600人以上に上り、イスラエルは地上戦に10万人の兵士を配置するなど、もはや戦争状態だ。
国際社会に新たな火種が加わったことで、マーケットは週明けの動向に注目が集まっていた。
「ところが株式市場に与える影響は軽微でした。9日のニューヨーク市場は続伸で、10日の日経平均も、それまでの下げ相場は10月4日に底を打った状況で、上昇局面です。国際市場ではイスラエル関連株は下落しましたが、ニューヨーク市場ではエネルギー関連株や軍事関連株が値上がりして、局面ごとでの影響はありましたが、地政学的なリスクよりファンダメンタルズへの注目が上回ったとの見方が一般的です」(経済ジャーナリスト)
だがウクライナでの戦争が終わらない不穏なこの時代に、新たな不確定要素が加わったのは事実。そこで、またも安全資産の金の人気が上がりそうだ。
「金の国内価格は10月6日にグラム9600円台だったのが、10日には9800円台まで値上がりしています。8月29日に初めて1万円の値を付けた後、9600円台まで下落していましたが、テロが起こった7日を挟んで一気に再浮上した形です。5年スパンで見ると、18年には5000円程度だったものが、コロナ感染拡大、ウクライナの戦争などを挟んで、2倍の1万円近くまで上昇していました」(同)
またニューヨーク市場では、アメリカ国債に連動する上場投資信託やドル・円相場も上昇していて、結局、不安な局面になると最終的には「金」「アメリカ国債」「ドル」が資産の落ち着き先になるという状況は、いつになっても変わらない状況だ。
(猫間滋)