第3次小泉内閣で、半袖・ノーネクタイを普及する「クール・ビズ」の旗振り役を務めたのが小池百合子環境相だった。今や東京都知事となり、目をつけたのが「太陽光パネル」だ。清く正しい「SDGs」の名の下、なし崩しで進められる再エネ業界は魑魅魍魎の巣窟となっている。小池悪政の真相を糺す!
9月27日、東京地検特捜部は秋本真利衆院議員(48)を受託収賄の罪で起訴した。これは、政府が導入拡大を目指している洋上風力発電を巡り、東京の風力発電会社側から有利になるような国会質問の依頼を受け、その見返りとして7200万円あまりの借り入れや資金提供を受けたとする容疑だ。
起訴事実が本当だとすれば「金の亡者」との謗りを免れないだろうし、まさに「政治屋」の所業というほかはない。
思えば、太陽光発電事業の現場を取材し始めた2016年ごろは、私自身、逆風にさらされた。産経新聞は自由な社風であったが、何しろ市井の人々が私を見る目は厳しかった。「原子力発電を稼働させるくらいなら、太陽光発電事業の方がはるかにマシだ」はまだいい方で、「世界の潮流にマスコミの人間が逆行している」などと面罵されたものだ。
その都度、森林伐採など乱開発の問題、悪質な業者を市場から放逐させる方法が確立していないこと、外国産業へのメリットばかりで国内産業には何ら役に立たないことを口角泡を飛ばして議論したのだが、私の説明不足もあったのか、必ずしも理解を得られたとは言えないことを実感した。「SDGs」(持続可能な開発目標)という言葉は魔法の杖だ。市町村が提供した土地に太陽光発電所を建てた業者が、2~3億円で手に入れ、売電権(ID)を10億円以上の価格で転売してボロ儲けしようが「持続可能な社会のためだ」と言えば何でも通ってしまう。言ってみれば、再エネファッショとも言える。
かつて、公害による健康被害や大手建設会社の談合など、社会悪や矛盾に絡む場合、濡れ手で粟でボロ儲けしたり、公害企業から献金を受けてお目こぼしを受けるのは与党・自民党だと相場が決まっていた。
ところが、この再生可能エネルギーの場合は正反対だ。この穴だらけの改正FIT法案を成立させたのは民主党・菅直人政権だが、その後、菅義偉・自民党政権下で「2030年度までに13年度比46%、温室効果ガスを削減する」とぶち上げ、これにメディアもこぞって「野心的な目標だ」と礼賛したのだ。
「織田がつき、羽柴がこねし天下餅」ではないが、いわば〝利権の椅子取りゲーム〟の末、今まさに自民党再エネ推進派議員がこねた餅をたらふく食らう、という段階まで来ていると言えよう。「越後屋、お主もワルよのう」と悪徳商人と結託する悪代官を成敗する者がいないのでは、話にならないではないか。
三枝玄太郎(ジャーナリスト)1991(平成3)年、産経新聞社入社。社会部などで警視庁担当、国税庁担当、東北総局次長などを歴任。 2019(令和元)年退社。以後はフリーライター。主な著書に「19歳の無念 須藤正和さんリンチ殺人事件」(角川書店)、「SDGsの不都合な真実」(共著/宝島社)など。文化人放送局で水曜日レギュラー、「Xファイル 未解決事件」に出演。YouTube「三枝玄太郎チャンネル」を配信中。
*写真は経営不振で建設が中断した太陽光パネル(奈良市)