一方で、国民民主党は次回の選挙公約に「再エネ賦課金ゼロ」を打ち出している。太陽光パネルや蓄電池の値段は下がっている。これ以上、野放図な開発ばかりする悪徳業者を「育成」する必要はないのだ。ドイツやイギリスなどでは倍近い売電価格が家計を圧迫していることは明白だ。2022年4月時点で経産発表によれば電気を月に600キロワット使用した場合、1カ月の負担額は再エネ賦課金分だけで2070円にまで達している。
逮捕された秋本議員の政治資金収支報告書を覗いてみると、2021年自民党千葉第9選挙区支部の報告書を見ただけでも、ざっと9つの企業・個人の再エネ業者が名を連ね、その多くを占めていることがわかる。
興味深いところでは、河合弘之弁護士(79)が100万円を寄付していた。河合氏は「一票の格差」訴訟で知られ、平和相銀事件、イトマン事件でも弁護人を務めたことで有名だが、最近では、静岡県熱海市土石流災害を起こした土地の所有者で再エネ事業者の顧問弁護士も務めるなど、熱心な再エネ推進、原発反対論者でもある。秋本議員はこうした再エネ推進派から熱心な支持を得ていた。いや、彼らの支えがなければ議員活動が立ちいかないというレベルだったのだろう。でなければ、青森県庁に乗り込み、知事に「計画を邪魔するなら許さない」と啖呵を切ったなどという噂が広がることはなかったはずだ。
さて、翻って東京都に目を移すとどうだろうか。
来年4月から、延床面積約2000平方㍍未満の新築建物に太陽光パネルの設置を義務づけた小池百合子・東京都知事(71)には、「テクノシステム」という太陽光発電会社との蜜月が指摘されている。
テクノシステムは、金融機関に噓の書類を提出して、融資金約11億円をだまし取った詐欺などの容疑で2021年、東京地検特捜部に逮捕された生田尚之被告=詐欺と特別背任罪で1審・東京地裁で公判中=が経営していた会社だ。小池都知事は、生田被告から2015年、自身が代表を務める「自民党豊島総本部」が150万円、2013年には小池氏の政治団体「フォーラム・ユーリカ」が50万円の政治献金を受けている。
生田被告は、2019年、横浜市の中華街に「肉匠 いく田」という高級しゃぶしゃぶ料理店を出店した。オープンの際には鳩山由紀夫元首相(76)、小泉純一郎元首相(81)らに交じって、小池都知事の花も並べられていた。
同じく開店祝いの花を出したのが遠山清彦元財務副大臣(54)だ。2021年、 コロナ緊急事態宣言中に、政治資金で銀座高級クラブ遊びが発覚したことで議員辞職、その後、東京地検特捜部に貸金業法違反の罪で在宅起訴され、懲役2年・執行猶予3年、罰金100万円の有罪判決が確定した人物だ。
この遠山氏は、実は再エネ業者と親しいことでも知られる。遠山氏とともに同じ罪で起訴され、有罪判決を受けた環境関連会社の役員は私の取材に「自分が再エネ業者からカネを受け取って、代議士と面会する斡旋、仲介をしていた」と明かしている。
三枝玄太郎(ジャーナリスト)1991(平成3)年、産経新聞社入社。社会部などで警視庁担当、国税庁担当、東北総局次長などを歴任。 2019(令和元)年退社。以後はフリーライター。主な著書に「19歳の無念 須藤正和さんリンチ殺人事件」(角川書店)、「SDGsの不都合な真実」(共著/宝島社)など。文化人放送局で水曜日レギュラー、「Xファイル 未解決事件」に出演。YouTube「三枝玄太郎チャンネル」を配信中。