ライバルは巨人ではなく、ヤクルトか?
阪神にマジックナンバーが点灯した。お祝いを兼ねて何人かの関係者に連絡を取ったところ、ふた言目に出たのは、「ちょっと早すぎるかな?」という言葉。2008年、最大13ゲーム差をひっくり返された悪夢がまだ払拭されていないようである。
「今回は阪神が逃げ切ると思います。怖いのは故障者が出ること。2位以下のライバルチームにこれといったプラス材料もないので」(在阪記者)
マジックナンバー29(8月16日)、順調に行けば、約1カ月後に岡田彰布監督は胴上げされることになる。
日程表を見て、その舞台として予想されるのが9月20、21日の巨人戦だ。本拠地・甲子園球場での主催ゲームでもあり、虎ファンのボルテージも最高潮に達しそうだが、関係者はある不安を抱えていた。
「次の9月22日からの神宮球場でのヤクルト2連戦で優勝したいですね」
宿敵巨人の目の前で胴上げを決めれば、「08年の悪夢」も完全払拭できそうだが、ヤクルト戦のほうが良いと言うのだ。
「日本一になった1985年の胴上げの舞台は神宮球場でした」(前出・関係者)
“ゲン担ぎ”である。
岡田監督には08年の悪夢同様、忘れてしまいたい黒歴史があった。05年の日本シリーズだ。千葉ロッテとぶつかったその年、阪神は4試合で33点を奪われ、打線はたった4点しか挙げることができなかった。惨敗である。
「解説者時代、岡田監督は質問してはいけないこととして、同年の日本シリーズがありました。本当に悔しかったみたいですね」(前出・在阪記者)
その年のペナントレースを紐解いてみると、優勝の舞台は甲子園球場で、対戦相手は巨人だった。だから、甲子園の巨人戦で優勝を決めるというのは、日本シリーズに向けても縁起が悪いというわけだ。
あくまでも計算上だが、最短Vは9月5日。こちらは、バンテリンドームでの中日戦だ。08年の逆転劇、05年の屈辱的な大敗。岡田監督は悲劇を同時払拭できるだろうか。
(飯山満/スポーツライター)