新生侍ジャパンは「2016年版巨人」?急浮上「ヨシノブ監督」とその参謀役

 元ソフトバンク指揮官である工藤公康氏の侍ジャパン監督就任はなくなったようだ。それに代わって元巨人監督の高橋由伸氏の名前が急浮上してきた。
 
 新生サムライの初陣は11月に東京ドームで開催される「アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」となりそうだが、注目は2026年開催の次回WBC大会。日本人メジャーリーガーも選ばれれば参加に前向きと言われるが、「高橋采配」は“ひと癖”ありそうなのだ。

「人格は温厚。短所は“決められないこと”。たとえば食事に行くと、何を食べるのかも迷う人。食べ終わってからも『やっぱり、こっちだったかな』とか(笑)」(ベテラン記者)

 よく言えば、慎重なタイプでもある。その慎重さは采配にも表れていて、仮に試合終盤、同点で迎えた自軍の攻撃で先頭バッターが四球を選んだとする。原辰徳監督であれば、「代走を送って盗塁、代打起用で押せ押せムードを」となるのだが、高橋采配は違った。常に失敗のリスクを考え、「動かない」のを最良の選択とする。

「裏を返せば、起用している選手を信頼していなければ『動かない』選択はできないとも言えます」(前出・ベテラン記者)

 どちらが良いという話ではない。ただ、ひとつ言えるのは、高橋氏は短期決戦ではなく、長丁場のペナントレースに適した指揮官タイプのようだ。

「今年3月のWBCで考えれば、打撃不振だった村上宗隆を4番で使い続けるのかどうかが問われたときです」(球界関係者)

 前任の栗山英樹監督は一定の期間を置いて5番に下げた。そこを4番で使い続けるのが高橋采配だ。それで勝利すれば、指揮官と選手の信頼関係は最高となるが、短期決戦は先に主導権を握ったほうが断然有利である。

「U-12の監督も務めた井端弘和氏の名前も挙がりました。高橋氏と井端氏はともに認め合う友好関係にあります」(前出・球界関係者)

 高橋氏が巨人監督だったとき、井端氏は内野守備走塁コーチを務めている。高橋‐井端コンビが侍ジャパンで復活するのか。井端氏なら、“決められない”高橋氏の弱点も補ってくれそうだが、「世界一」の後任は並大抵ではない。勝って当然の重圧との戦いとなる。

(飯山満/スポーツライター)

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