NHKが7月30日に「受信料と公共放送についてご理解いただくために」というタイトルの文書を発表し、物議を醸している。
同文書では<NHKを見なければ受信契約はしなくていい。受信料は支払わなくてもいい>と発言する人たちがいると指摘したうえで、放送法や受信規約を根拠に、<受信料をお支払いいただくことが定められています>と主張。その上で、<「受信料を支払わなくてもいい」と公然と言うことは、法律違反を勧めることになります>と強い調子で非難している。
この文書に対し世間からは<高圧的な態度><放送法を早く変えるべき>といった反発が続出。なかには<税金だって払いたくないから払わないという理屈は通らない>とNHKに理解を示す声もあるものの、おおむね否定的な反応が目立っているようだ。
「テレビやワンセグ携帯電話の所有者にNHKとの契約義務が発生することは、すでに最高裁でも判決が確定しています。その意味で今回の文書は法的な裏付けのもとに発表されたわけですが、NHKではこれまで《放送受信契約のお願い》といったソフトな表現を使ってきたのに対し、今回の文書は《明らかな違法行為などについては、放置することなく、厳しく対処してまいります》と強い姿勢を打ち出しているのが目立ちます。こういった表現に対して《言っていることは正しいかもしれないけど、言い方というものがあるだろう》との反応が出ることは、ごく自然なことでしょう」(週刊誌記者)
ともあれ、なぜNHKがこのような文書を発表することになったのかとの疑問を巡り、今回のタイミングは明らかな対応ミスと指摘する声もあるようだ。
「先日の参院選では『NHKをぶっ壊す!』を党是とするNHKから国民を守る党(N国党)が約2%の投票を得て、1議席を獲得。そして7月30日には大阪市の松井一郎市長がN国党を念頭に、『NHKが(N国党への)徴収手続きに入らないのであれば、大阪市としても今後は受信料を支払わない』との不満を表明しました。そのため今回のNHK文書は、N国党への対決姿勢を示したと受け止められても仕方がないでしょう。NHKは否定するかもしれませんが、世間がそう思うのは止めようがない。しかもNHKの主張が、公党の主張に対する非難とみなされた場合には、放送法第1条が定める“不偏不党”との整合性すら問われかねません。今回の文書はNHKの正当性を訴えたはずなのに、むしろ自らの首を絞める結果に繋がりかねないのです」(前出・週刊誌記者)
NHKの文書では具体的な党名や組織名について触れていないものの、世間がN国党をイメージするのは不可避。これではN国党の土俵に自ら上がったのも同然なのかもしれない。