岸田文雄総理がウクライナを電撃訪問し、首都キーウでゼレンスキー大統領と会談したのは3月21日のこと。日本出国前、「ウクライナ訪問」について記者から尋ねられた岸田総理は「何を根拠に言っているのかわかりませんが…」と噂を否定していたが、訪問先のインドで記者団を煙に巻いてポーランド経由でウクライナ入りを果たした。
同日にオンエアされた「報道ステーション」(テレビ朝日系)では、このニュースを番組中盤で「速報」として取り上げ、メインキャスターの小木逸平アナは「先ほど極秘でウクライナ入りしました。この後、侵攻後、はじめてゼレンスキー大統領と対面で会談をします」と伝えた。
画面に映し出されたのは21日午後7時過ぎ(日本時間)に撮影されたという岸田総理の写真。「キーウの駅に降り立つ岸田文雄総理大臣の姿がありました。これでG7の首脳は全員、キーウを訪れたことになります」というナレーションのもと、岸田総理が駅のホームらしき場所を歩く姿を紹介。さらに「岸田総理ウクライナを極秘訪問」というテロップを表示し、岸田総理が大量虐殺が行われたブチャの街を視察し、献花する様子などが映し出されたが、SNSでは《これだけカメラに撮られてどこが極秘なんだ?》《ぜんぜん極秘じゃない》《極秘訪問にしては大名行列》といったツッコミの声が寄せられていた。
「番組ではその後、インドのニューデリーに置いてけぼりにされた記者団の様子を伝えていました。憤る記者たちに、外務省の担当者は『私も何が起きているかわからない』と釈明し、『所在もわからないのは困る』と批判されていました。たしかに、メディアに対する秘密保持という点では成功していたと言えますが、番組は岸田総理の足取りを解説。20日深夜にインドを出発し、21日の午前にポーランド入り。そこから列車でキーウに到着したのが午後7時頃と伝えていました。ここまで詳細にルートを紹介しておいて、『極秘訪問』と報じたことで多くの視聴者が違和感を抱いたのではないでしょうか」(メディア誌ライター)
なお、「報ステ」がこの日トップで伝えたのは、日本代表が劇的勝利を収めたWBC準決勝。岸田総理の「極秘訪問」を伝えたのは番組開始から30分ほど経った頃だった。