このところ、アメリカでは経済を大きく揺るがすような出来事が相次いで起きている。3月10日には総資産2090億ドル(22年12月時点。以下同)で全米16位の「シリコンバレー銀行」が、13日には総資産1103億ドルで全米29位の「シグネチャー銀行」が債務超過に陥り経営破綻したのだ。
さらに14日には、世界有数の金融大手「クレディ・スイス」が過去の財務報告に「重大な弱点」があったと公表。追い打ちをかけるように15日には筆頭株主「サウジ・ナショナル・バンク」(サウジアラビア)が追加融資に拒否の姿勢を見せたことが報じられ、株価は過去最安値を更新することとなった。
「金融関係者の間では米国の景気後退が以前から囁かれていましたが、そんな生易しい話では済まなくなる可能性があります。中小の銀行を中心に今後も経営破綻が続く恐れがあり、下手をすれば08年のリーマンショック級の不況に陥ってもおかしくない。欧米各国の金融当局やメディアもそうした懸念を持っています」(経済ジャーナリスト)
実際、シリコンバレー銀行が破綻した10日以降、資金借り入れを行う金融機関が急増した。米連邦準備理事会(FRB)によると、15日時点でその総額は1648億ドル(約22兆円)。これはリーマンショック後の1110億ドル(14.8兆円)を大きく上回る。
そんな混沌とした情勢の中、新たに伝えられたのが総資産2126億ドルで全米14位の「ファースト・リパブリック銀行」の経営危機だった。これを受けてバンク・オブ・アメリカやシティグループなど米国の大手11行が救済のため、同行に計4兆円規模の無保険の預金をすることを表明した。
「しかし、こうした資金借り入れや金融機関同士の支援にも限界があります。今の米国には高金利や不動産価格の高騰などバブル崩壊前の日本と共通点も多い。もし本格的な不況に突入すれば、日本も深刻な被害を受けるのは必至です。中国の経済も完全に失速しており、影響は世界中に波及するかもしれません」(前出・ジャーナリスト)
米国の大不況から世界恐慌、などという事態が現実味を帯びてきたのである。