3月14日、西日本を中心に70店舗以上を展開していた宅配ピザチェーン「シカゴピザ」が事業を停止し、自己破産の準備に入ったことが分かった。人件費高騰による収益悪化が影響したとされるが、原因は他にもありそうだ。
「シカゴピザは1986年に東京・渋谷に1号店をオープン。ゼンショーホールディングスへの事業譲渡などを経て、関西で店舗を増やしていきました。宅配ピザの他にも『どんぶり名人』や『麺屋逸杯』などのデリバリー事業を手掛け、21年3月期には新型コロナウイルスの感染拡大による巣篭もり需要もあって約42億3800万円の売上高を記録。事業は順調にも思えていましたが…」(フードライター)
しかし、多くの事業者がデリバリーやテイクアウト事業に参入してくると売上は減少。物価高による仕入れコストの上昇や、最近では人件費の負担も大きくなっていったといい、22年3月期には赤字転落。資金繰りが悪化し、自己破産を決めたという。負債総額は約15億にのぼる。
「人材獲得競争による人件費高騰で資金繰りが悪化したことが破産に至った主な原因とされていますが、ライバルである宅配ピザチェーン『ドミノ・ピザ』の影響も決して小さくはないでしょう。同チェーンは昨年6月に『Lサイズピザ1枚買うとMサイズピザ2枚無料キャンペーン』を実施すると、注文が殺到してサーバーがパンクする事態になりました。クルーへの負担を心配する声もありましたが、その後もリベンジを掲げて同キャンペーンを再び開催。1月には30日連続で日替わりキャンペーンを実施するなど攻勢をかけ、関西の店舗でも限定キャンペーンを実施するなど、ピザ需要を独占する勢いでしたからね」(経済ジャーナリスト)
ドミノにしてやられたと思っている宅配事業者は多いだろう。
(小林洋三)