マグニチュード7.8。6日午前4時過ぎに、トルコ南東部のシリア国境に近いガジアンテプ県付近で発生したトルコ・シリア地震。この地震により、両国の各地で甚大な被害が広がっている。
7日、トルコのエルドアン大統領は、被害が最も大きいとされる南部10県に3カ月間の非常事態を宣言。国連に対しても被災地への救援隊派遣や財政支援を要請した。
「今回被害が大きかった地域は、凍てつくような厳しい気候条件にあり、インフラも崩壊。疫病が蔓延するなど、地震発生以前から危機的状況にあったエリアです。1回目の地震で相当数の家屋が倒壊し、同日午後に再び起こった大地震により、さらに被害が広がってしまった。さらに、被害を受けたシリア北部では政府と反体制派による紛争が続いているため、反体制派が支配する地域への支援は困難を極めること必至。二次的、三次的な被害が懸念されます」(全国紙記者)
そんな惨禍の中でも、やはりネット上では不届きなデマが拡散され、トルコ政府が慌てて「誤情報」として注意喚起するなど、波紋が広がっている。
「地震発生後、すぐにツイッターにアップされたのが『Tsunami in Turkey(トルコでの津波)』という投稿で、日本でも拡散。7日の夕方時点で40万回以上再生されています。ただ使用された映像は東日本大震災時のもので、ほかの津波に関するツイートも多くは今回の地震とは無関係な世界各地の過去映像が使用されています」(ネットウォッチャー)
被害が拡大する中で、さらに混乱を招くようなデマ情報を拡散させる行為は言語道断だが、フェイクはこれだけに留まらなかった。
「ほかにも、2020年にレバノンの首都ベイルートで発生した大規模爆発の映像を張り付けた『原子力発電所大爆発』といったツイートや、1月にトルコ国内で観測された雲が『地震雲』だったとするもの、さらには今回の地震は何者かによって作り出された『人工地震』という根拠のない投稿も相次ぎ、それが一時ツイッターでトレンド入りするなど、困ったことに今やSNS上はデマや陰謀論で溢れかえっています」(同)
前出のネットウォッチャーいわく、災害時に出回る「フェイク情報」には、悪意のある作り話と勘違いによるのものがあるが、共通するのが「○○らしい」「○○だそうだ」といった「伝聞」を通して拡散するパターン。そのため、元の投稿が削除されても形を変えながらネット空間を漂い続け、知らないうちにそれが広がってしまう。これがフェイク拡散の構造なのだ。
「災害時には、こうしたデマやフェイクが身の危険に直結します。なので自分が被災したときには、見ず知らずの人間の情報ではなく、まずは行政や電力、ガス、鉄道などを担うインフラ関連企業の公式アカウントを確認することが重要です」(同)
不確かな情報をリツイートして拡散させることも、結果的にデマに加担することになるので注意が必要だ。
(灯倫太郎)