前レッドソックス・澤村拓一(34)がロッテに「帰還」した。
米球界関係者によれば、昨季シーズンが終わったころには、複数の日本の球団からオファーが届いていた。その中にロッテも入っていたのだが、一方で「まだメジャーリーグでやりたい」との思いも強く、1月に入っても、ロッテと並行して米球団とも交渉していたという。
「そもそも、昨季途中で澤村が事実上の戦力外通達を受けた原因に『出来高払い契約』があったとされています。登板数50試合、60試合でそれぞれ5万ドル(約700万円)が発生することになっていて、澤村が解雇されたのは49試合目を投げ終わった後でした。若手育成のため、40人枠を空けたいと球団側は説明していましたが…」(在米ライター)
そんな澤村がロッテ帰還を決断した背景には吉井理人監督の存在があったという。今季から指揮を執る吉井監督は、澤村が巨人から移籍してきた2000年に投手コーチを務めていた。その当時に信頼関係が築かれたと見る関係者は多い。そして、ロッテ入団を決定づけた「話し合い」が、極秘裏に沖縄で行われていたという。球団関係者が明かす。
「年が明けてから、澤村は沖縄で巨人の鍵谷陽平と自主トレをしていました。その情報を掴んだロッテスタッフが直接乗り込んだのです。契約の中身などは不明ですが、この話し合いで澤村の心が動いたと見られています」
吉井監督にとっても、盤石なリリーフ陣を構築することは急務だった。
「吉井監督は投手コーチ時代、リリーバーには3連投をほとんどさせませんでした。その起用法は、監督になってからも変えないはずです。守護神だったオスナがソフトバンクに移籍したこともあり、救援投手は何人いても足らないくらいです」(スポーツ紙記者)
小野郁、益田直也、東條大樹、西野勇士などもいて、カスティーヨ、ペルモドの新外国人投手も獲った。だが…。
「『軸になるリリーバー』がいないのです。カスティーヨは先発とリリーフの両方を経験していることもあり、先発候補の投手たちの状態を見て、先発かリリーフかを決めるようですし、ペルモドはリリーフタイプですが、20年にトミー・ジョン手術を受けていてやや不安があります」(前出・球界関係者)
つまり、澤村の活躍の場は十分にあるのだ。吉井監督はメジャーリーグも経験しているので、澤村の心境も十分に理解し得る。沖縄での交渉では吉井監督の期待も伝えられたのではないか。澤村自身も入団会見でこう語っている。
「(ロッテ入団は)吉井監督が監督に就任されたことも僕の中で大きかったです」
前出・球団関係者によれば「澤村は気持ちを前面に出して投げるタイプ」だけに、高いモチベーションが持続できればロッテブルペンの大きな戦力となるに違いない。
(飯山満/スポーツライター)