4年前の前回ロシア大会では全試合がテレビ地上波で放送されたが、今回のカタールW杯では41試合と約3分の2に減少。代わりにサイバーエージェントグループのネット放送「ABEMA TV」が全試合中継し、スマホやパソコンで観戦した方も多かったはずだ。
ちなみにカタールW杯の放映権料は公表されていないが、一部報道ではABEMA側が支払ったのは200億円。テレビ各局が負担した分と合わせた総額は350億円に上るとも言われている。日本が初めてW杯に出場した98年フランス大会はNHKの独占放送だったが、このときの放映権料は推定5億5000万円。四半世紀で64倍に膨れ上がったことになるが、6日に行われた決勝トーナメント1回戦の日本—クロアチア戦はABEMA TV史上最高となる2300万人が試合を視聴している。
W杯を通じて日本中に認知され、実業家のひろゆき氏は2日にリモート出演した同局の「ABEMA Prime」で「ABEMA大成功だなと思って。200億円大勝利じゃないですか!」と巨額投資を決断したサイバーエージェントの藤田晋社長を評価している。
そうした中、テレビ関係者の間では同社が次のW杯の放送権も購入するのではとの噂が流れている。実は、テレビ局にとって現在の放映権料はすでに予算オーバー。しかも、米国・カナダ・メキシコの北中米3カ国共催となる26年大会では放映権料はさらに高騰することが確実視されている。
「W杯はNHKと民放各局で構成される『ジャパンコンソーシアム』で出資し合って負担していましたが、今大会では費用を捻出できないと日テレ、TBS、テレビ東京が撤退。次回大会の放映権料は400億円を超える可能性が高く、そうなれば全局撤退も十分考えられます。でも、これだけの額になるとサイバーエージェントにとっても大きな負担。今はグループ全体が好調ですが、今後の業績次第では放映権料を出せなくなる可能性もあるでしょうね」(テレビ誌編集者)
4年後のW杯中継はPPV(ペイパービュー)なんて事態にならなければいいが…。