「ウチにいたら彼のためにならない」中日・京田陽太「放出トレード」の裏にあった球団の事情

 11月18日、中日・京田陽太とDeNA・砂田毅樹の交換トレードが両球団から発表された。

「トレードが発表されたとき、京田がどこにいたと思います? ナゴヤ球場内の室内練習場でバットを振っていたんです。トスを上げるマシンを使っていたんですが、それって、京田が昨年オフ、自費で購入したもの。加藤宏幸球団代表が出てきて、メディア対応に追われていました」(地元関係者)

 プロである以上、非情通告も受け入れなければならないが、このトレードの一報と同時に聞こえてきたのは、「中日の内野は大丈夫か?」という心配の声と、もうひとつは「やっぱり」の声だった。

「今季は43試合の出場にとどまりましたが、京田の堅実な守備によって、中日の高い内野守備率が担保されてきたと言っても過言でないのです。でも、思い出されるのが、今年5月4日の『事件』ですね。打撃不振に苦しんでいた京田は、立浪和義監督に『戦う顔をしていない』と叱責され、試合途中でありながら名古屋に『強制送還』させられたのです」(球界関係者)

 加藤代表は記者団に、「ウチにいるケースと、内野手を欲しがっている球団に移籍した時に、どちらが彼のためになるか」と、今回のトレードについて説明した。

「つまり『ウチにいるケース』では京田は幸せになれないということでしょう。京田と立浪監督はソリが合わないのは周知のことでしたから、『放出トレード』に関しては前から噂は立っていたんです。でも、メディアが勘づき、成立前に活字になってしまいました。通常、交渉過程で露呈したトレード、対象選手は放出しないものですが、それでも押し進めたところに、放出に対する球団の本気度が見えますね」(前出・球界関係者)

 ちなみに、京田が強制帰還させられたのは、移籍先のDeNA戦だった。皮肉な巡り合わせではあるが、加藤代表が語ったように「京田のためになる」トレードであることを、ファンは望んでいるに違いない。

(スポーツライター・飯山満)

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