神奈川新聞のWEBサイト「カナロコ」が14日、〈「招待枠もないのに先走り」岸田首相が英女王国葬参列見送り 準備の関係省庁から不満〉と題する記事を掲載。
記事によると、岸田文雄首相が19日に行われるエリザベス英女王の国葬への参列を見送ることが14日に決まったが、英王室から届いた招待状は日本の「国家元首」2人分。ところが、政府は12日の定例会見で岸田首相の参列について「政府としてさまざま検討している」と可能性をほのめかしていたため、首相の訪英を想定して準備を進めていた省庁からは「もともと招待枠もないのに先走りさせられた」(内閣府スタッフ)と、不満が漏れているというのだ。
全国紙政治部記者が語る。
「松野博一官房長官が、天皇、皇后両陛下が17〜20日の予定で渡英し、19日に営まれる国葬に参列されると発表したのは14日のこと。しかし、先週末(10日)の段階で両陛下の参列は確定していたとされ、となればその段階で岸田総理の訪英はなくなるはず。しかし、不思議なことに松野官房長官は週明け12日の定例会見で『検討している』と説明。これで関係省庁が振り回されることになった。神奈川新聞では、英王室から届いた招待状は10日付だったものの、官邸は官僚たちの不満を抑えるため『10日付だが届いたのは10日より後』とあえてリークしたのでは?と書いていますが、これが事実なら官邸内の情報共有が全くできていない証拠です」
報道を受け、14日のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演した慶應義塾大学総合政策学部准教授で国際政治学者の鶴岡路人氏も「国葬は王室の儀式として行われるので、王室がある国は当然、カウンターパートは王室になる」と説明。イギリス王室の儀式に参加するのは当然皇室の方々だとして、「どうして総理という話が出てきたのか、あるいは本当に出てきた話なのか未だに信じられません」と驚きを隠せない様子だった。
また、総理の参列の目的が「弔問外交」と報じられたことについても、それが事実とすればと前置きしたうえで、「これも言ってみれば酷い話で、エリザベス女王を追悼するのが目的のはず。それを『弔問外交のために参列する』というのは失礼な話」と、呆れるばかりだった。
ただでさえ、安倍晋三元総理の国葬で国民との間にすきま風が吹く岸田内閣。時事通信が実施した9月の世論調査では、内閣支持率は32.3%と前月より12ポイントも下落し、過去最低に。英女王の国葬参列を巡っても波紋を広げることになったが、官邸内でも岸田首相お得意の「聞く力」が弱っているのではないかと心配になってくる。
(灯倫太郎)