東京地検特捜部は6月20日、外国為替証拠金取引(FX)を手がける東郷証券(東京都港区)が複数の顧客に対して損失補填したとして、金融商品取引法違反容疑で実質的経営者の林泰宏容疑者ら4人を逮捕。林容疑者は巨人にドラフト1位で指名された元プロ野球選手だった。
林容疑者は、市立尼崎高のエースで四番として活躍。甲子園には進めなかったものの、1979年のドラフト会議で投手として巨人から1位指名。だが、1軍で登板することなく、数球団を渡り歩いた末、85年に引退。その後、先物取引大手の営業などを経て証券会社の社長に就任するなど、”華麗なる転身“としてメディアにも取り上げられていた。
証券会社の損失補填が刑事事件として立件されるのは20年ぶりのこと。損失補填はバブル期に証券会社が反社会的勢力を含む得意先だけに提供していた、いわば“裏サービス”だったが、今回の林容疑者も、顧客8人に対する損失約6900万円を穴埋めした疑いが持たれている。
昨今では、プロ野球選手がタレントや女子アナと結婚することは珍しくないが、林容疑者はその先駆け的存在だった。彼が現役時代に結婚したのが人気アイドル歌手の黒木真由美。その後、一女をもうけたのち離婚している。
“華麗な転身”の先にこんな転落が待っていようとは…。
(石田英明)