アベノマスク以来の愚策?あまりのザルぶりに大コケしそうな「節電ポイント」

 笛吹けど踊らず。岸田政権が打ち出した節電ポイント政策のことだ。7月26日、共同通信は節電ポイントの参加世帯数が100万世帯超に留まると報じたが、日本の世帯数は20年時点で4885万世帯なので、わずか2%の世帯にしか普及してないことになるからだ。拙速が生んだ政府の愚策と言えば金ばかりかかったアベノマスクが思い出されるが、あれには及ばないものの、これはこれで聞きしに勝る愚策に終わりそうだ。

「節電ポイントは、5%の節電に応じた家庭に2000円分のポイントを還元するというものですが、仕組みとしては今ある電力会社の節電ポイントに乗っかって政府が補助金を出して後押ししていくという形になっています。なので、制度は電力会社によってバラバラで、おそらくイチイチ各会社の場合と比較してまで節電ポイントを得ようという人はまずいないでしょう」(経済ジャーナリスト)

 例えば東京電力パワーグリッドでは6月8日から「夏の節電チャレンジ2022」というのを9月30日まで行っているが、これだと節電が求められる時間帯に節電を行うと、1kWh当たり5ポイントがつく。1kWhはおよそ掃除機を60分使用した場合の電力量。それで5ポイントとなると、たいしたポイントが稼げるとは思えない。東京ガスは7月27日から「節電チャンスタイム」を行っているが、こちらはそもそもスマートメーターが設置されている家庭のみだ。

「それに節電ポイント制度のない新電力は今回は対象外となっています。ですからもともと電力消費に気をつかっていて、自分の生活パターンに合った電力会社を選んで節電しようと工夫していた人は、恩恵にあずかることができません。全国民になるべく節電を促すという意味では、かなりのザル制度と言えるでしょう」(同)

 電力の安定供給には電力予備率3%以上維持が条件。その根本を見直すことなく、結果としての3%維持のためにギリギリで数字を積み増すという小手先の発想が透けて見え、しかもお得でないために国民からそっぽを向かれているのだろう。

(猫間滋)

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