かつての中堅芸人たちの多くが冠番組を持つようになり、大御所たちもうかうかしていられない。ようやく世代交代が進んでいる印象のバラエティ業界だが、だからこそ費用対効果が注目されてしまうのだ。
「もっと視聴率が高かったバラエティ隆盛の20年ほど前は、暗黙の了解として番組ギャラはアッパーで200万円でした。明石家さんま(67)はそのルール通りに出演してくれたし、予算が少なければ落としてもくれました。もちろん、レギュラーかゲストかによっても額は違ってきます。現在の話で言えば、例えばヒロミは、ゲストで呼ぶとゴールデン帯で1時間70〜80万円は取る。ところが、これがレギュラーになると収入が保障されるからか、もう少し下げても飲んでくれるんです。そのあたりは交渉次第でしょう」
こう明かすのは民放局のベテラン番組ディレクターだ。売れっ子芸人たちのギャラはかつてより高騰しているように見えるが、相反して番組視聴率は伸びていない。中でもダウンタウンのコスパの悪さが際立つ。TV事情に詳しいライターの張本茂雄氏が「ダウンタウンDX」(日テレ系)について語る。
「番組当初は面白かったですよ。菅原文太や小林旭といったバラエティに縁のない大物を呼んでじっくりとトークをしたり、かなり骨太な作りでした。それが今や、よく見るひな壇タレントや吉本芸人たちをひたすら肥えさせるための番組になっている。番組開始当初に比べて松本人志がマッチョ化した一方で、番組のスケールはものすごくしぼみましたね」
同世代ライバルのとんねるずは、高額ギャラがネックでテレビ業界から姿を消しつつある。勢い、ダウンタウンに対する風当たりも厳しくなりそうだ。せめてギャラ並みに視聴率も「DX」にしてほしいものである。
同じ吉本勢でも、ナインティナインは優良物件だ。泥棒指数も低い。
「ナイナイは『めちゃ×2イケてるッ!』(フジ系)が打ち切りとなって以降、ギャラを少し抑えるようになったといいます。とはいえ『ぐるナイ』を放送する日テレは、そもそも他局よりギャラが安く、同番組は据え置き価格です」(ディレクター)
そんな〝お得感〟では、サンドウィッチマンやバナナマン、さらには初冠番組を持ったアンガールズ・田中卓志(46)が注目される。
「『呼び出し先生タナカ』は『めちゃイケ』企画の丸パクリ疑惑が物議を醸している上、視聴率も大惨敗です。それでもギャラの安さから、結果的にコスパ最強となっています」(放送作家)
今年10月から新番組がスタートすることで、全曜日のゴールデン&プライム帯で冠バラエティ番組を抱える有吉弘行(48)の場合はどうか。「有吉の壁」のギャラと視聴率を見るにつけ、そこまで重宝されるにはやはり事情があるようで‥‥。
「スタジオかロケか、時間帯、拘束時間によってもギャラに幅があります。ギャラが安いと言われる日テレですが、『有吉の壁』はロケで拘束時間も長いので、有吉の冠番組の中でも割高感はあるかもしれません」(日テレ関係者)
「冠」を戴いている以上、高額ギャラ分の責任が本人について回るのも〝実力〟のうちなのだ‥‥。
*「週刊アサヒ芸能」8月4日号掲載