NHKの豪腕会長が「紅白」打ち切り報道否定も局内では「有志」リーク犯探し

 NHKの前田晃伸会長は5月12日の定例会見で、自身が「NHK紅白歌合戦」を「終わらせる」とNHK執行部に伝えたとされる報道を断固否定した。

 10日発売の「文藝春秋」では、NHK職員有志が「前田会長よ、NHKを壊すな」というレポートを発表。前田会長が2020年1月の就任以来、推し進める局内改革で弊害が起きており、その一例として前田会長が紅白終了の意向を執行部に話したというが、本人は会見で「紅白をやめるとか打ち切るとか言ったことは一度もないし、指示したこともない」とし、報道を「全くの虚偽」と否定した。

 NHK有志職員は「文藝春秋」に発表したレポートで、前田会長の局内改革の中身を「強権的で杜撰」と批判。「このまま前田会長による身勝手な改革を進めれば、NHKは必ず崩壊します」と強い表現で懸念を示した。公共放送の一部職員が月刊誌で局トップを批判するのは異例だ。

 職員有志は30~50代後半の十数名で、所属は制作局、報道局など多岐にわたる。職員有志によると、NHKでは若手・中堅職員が次々と退局しているという。

 局内ではさっそく、「文藝春秋」への〝リーク犯〟となった職員有志探しが始まった。

「NHKには職員が1万人います。その中から十数人を探すのは至難のワザですが、疑われているのはやはり制作局と報道局の職員です。報道局の記者の中には上層部への反骨心が強い者がいるし、制作局のスタッフの中には番組打ち切りを食らって不満を抱いている者がいますから」(NHK関係者)

 局内では「有志ってお前?」とイジったり、「アイツが有志の一人らしいよ」とささやいたりして、互いが互いを疑う疑心暗鬼になっているという。

 14~17年にNHK会長を務めた籾井勝人氏は在任時、ぶっ飛んだ発言を連発して主に局外や世間を騒がせた。今の豪腕会長は、「NHKをぶっ壊す」と連呼している「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の立花孝志党首にそそのかされたわけでもないが改革を断行しており、職員有志にとっては「ぶっ壊される」と感じているのだろう。

ビジネス